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「怒ってないんですか……!?」
縛られた手を解いてもらって、赤くなった手を擦りながらトントンを見る。何を言っているのか分からないと言うような顔で、トントンは首を傾げる。
「なんで怒るん？」
「だって……何も言わずに急に家を出て……今までの恩を仇で返すようなことを……!!」
「ちゃんと、書き置き残してくれたやん。連れ拐われたんならともかく、Aが無事なら、なんでもええ。叔父貴が連れ戻すなってやかましくてしゃあないねん。外出には見張りが着いてな、中々来れんかった。でも、Aから電話があってすぐに切れて。何かあったんやってすぐに分かった」
「…トントンさん」
「叔父貴の刀持って、制止の声も聞かずに出てきてもうた。でも、嫁が危険やのに、助けに行かへん夫は居らんよな。……A。頼ってくれてありがとう」
どこまで優しいのだこの人は。トントンの底知れぬ優しさと、どれほどの温情をかけられているかが分かり、自然と涙が込み上げてきた。罪悪感やら、嬉しさやら安堵やら。
「え!?ちょ、なんで泣いてんの!?……なんかした？……ああ、ごめんごめんごめん。分かった、もう俺喋らんとくな」
トントンが喋る度に大粒の涙を流すAに慌ててトントンはムギュっと口を閉ざした。フルフルと首を振ったAは、服の袖で涙を拭いながら、トントンの唇を解す。
「トント、さんが……やさしくて、私、すごくやなことしちゃって…」
しゃっくり混じりに話すA。そんな彼女に向けられている視線は、それはそれは優しくて。Aが愛おしくてたまらない、そんな顔だった。
「A」
先程とは同一人物かと疑う程、同じ口から出ている声とは信じられない程、トントンの声は優しかった。涙を堪えようと、口を結ぶA。トントンは、Aの両頬を優しく大きな両手で挟んで、少しだけ上を向かせる。しゃがみ込んだトントンは、そのままコツンと額を合わせた。近くなる顔の距離に、Aは赤面する。
「泣いたり顔赤くしたり、忙しい奴やな。なぁ、A。やっぱり危険や。我々組に来ぃや。そしたら、俺もいつでも守れるし、安全やし。A、俺の嫁になって」
「トントンさん。仕事辞めるまで、待ってくれますか？」
意外なAの返答に、トントンは大きく頷いた。断られると思っていたから。またいつものように軽くいなされると思っていたから。
「そんじょそこらの一般人の女の子に、根気比べで負けとったら、我々組の組長名乗れへん」
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ゆず塩(プロフ) - 何回も読み直して部屋が水没するくらい泣きました…最高です！！ (3月29日 1時) (
レス) @page50 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品も最高でした!!!!最後のrbrさんとの話がまたよかったです!!大好きです!!←突然の告白 (2022年12月11日 14時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - ボロッボロに泣きました。とても素敵なお話でした。今までたくさんのお話を読んできましたが、こんなに感動して心を動かされてドキドキしたものはこれが初めてでした。何度も読み返させてもらいます！素敵なお話をありがとうございました！！ (2022年9月5日 18時) (レス) @page50 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぺに(プロフ) - ｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡←感動しました。ひよこさん大好き。 (2022年6月17日 23時) (レス) @page50 id: bcadc0cb73 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ（初心者） - なんちゅう殺傷能力の高いお話を書くんや・・・最高ですありがとうございました。自分的に最後のrbrさんとの会話がウヘヘヘヘ←ｷｯﾓ (2022年5月2日 23時) (レス) @page50 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月10日 17時
