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日曜もダラダラと過ごし、地獄のような1週間が始まった。毎朝同じような支度をして、家を出る。念の為、鍵は上も下もつける。キョロキョロと周りを見回して、『奴』が居ないかを確認してから廊下を歩き出した。反対側に見える3号棟の402号室。電気は消えているから、寝ているか、留守にしているかだ。
安心していいのかも分からず、少し不安な気持ちを抱えてエレベーターに乗った。通勤ルートもいつも通り。ふわぁ、と大きな欠伸をしてから、表情を引き締めて会社に入った。朝、7時半。社畜AA出社である。
「A先輩。おはようございます」
「おはよう」
いつも通りの会話。いつも通りの仕事。ブラック企業に勤めると、色々と鈍るものがある。感情、時間感覚、食事の大切さ。睡眠。昼飯はエナジードリンクとゼリー。そしてそのまま夜まで働く。会議もあって、少し今日は疲れた。月曜日は仕事から解放される時間が遅い。
「お疲れ様です。先上がります」
パソコンに向かって無心で手を動かす同僚に声をかけて、Aは会社を出た。午前零時48分、社畜AA退社である。勿論、もう終電は逃した。財布の中には5000円札が1枚。ここはタクシーで帰るしかないと、樋口一葉に別れを告げようとした時だった。目の前に黒い高級車が止まった。
「…えっ」
財布を持ったまま棒立ちのA。車の窓が開くと、見覚えのある人物がこちらに手を振っていた。一応手を振り返すと、彼、トントンは車を降りてAの所まで歩いてきた。
「やっぱりな」
「トントンさん……!?どうして」
「こんな真夜中に、嫁1人外で歩かせる訳には行かへんし、終電も逃しとると思ったから、迎えに来た。これも旦那の役目やろ？」
カッコよく笑ったトントン。Aは思わず頭を押さえてしまった。
(なんで会社知ってんの……怖っ。調べたの？極道ってそういうことしちゃう系男子多いの……？もうお姉さん分かんないよ)
頭はパニック。トントンは、Aの腰を抱いて、助手席までエスコートした。とても童貞とは思えない。半ば無理やりシートベルトをしたトントンは、反対側に回って運転席に座る。
「さ、帰ろか」
「…ありがとうございます」
どうして会社が分かったのかは怖いからこれ以上考えないことにする。とりあえず、礼を述べるとトントンは嬉しそうに、嫁が1番やからな。と答えた。
「結婚しませんってば」
「可愛ええ子、作ろな。男も女も欲しいわ」
Aの話など聞いちゃいない。
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ゆず塩(プロフ) - 何回も読み直して部屋が水没するくらい泣きました…最高です！！ (3月29日 1時) (
レス) @page50 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品も最高でした!!!!最後のrbrさんとの話がまたよかったです!!大好きです!!←突然の告白 (2022年12月11日 14時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - ボロッボロに泣きました。とても素敵なお話でした。今までたくさんのお話を読んできましたが、こんなに感動して心を動かされてドキドキしたものはこれが初めてでした。何度も読み返させてもらいます！素敵なお話をありがとうございました！！ (2022年9月5日 18時) (レス) @page50 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぺに(プロフ) - ｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡←感動しました。ひよこさん大好き。 (2022年6月17日 23時) (レス) @page50 id: bcadc0cb73 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ（初心者） - なんちゅう殺傷能力の高いお話を書くんや・・・最高ですありがとうございました。自分的に最後のrbrさんとの会話がウヘヘヘヘ←ｷｯﾓ (2022年5月2日 23時) (レス) @page50 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月10日 17時
