34 ページ34
本気で食べられる。ショッピの吐き出す獣のように荒い息が首筋にあたるだけで、微量の電気が流れたような感覚に陥る。
「最高の女や。A。いい顔」
「離して……!!!!!」
「何しとるん？ショッピ君」
ドスの効いた声がした。
「ぞ、ゾムさん。驚かせんとって下さいよ」
「Aに何しようとした？俺のAに手ぇ出そうとした？」
「俺のもんっすよ。Aは」
「……出てけ。離れろ。殺すぞ」
今のゾムはやばい。そう察したショッピは悔しそうに部屋を出て行った。
「良い子ね、忠犬君」
「A。一緒に夜景見に行こ」
「……しつこいわね。でもいいわ。火照った体を冷ますのに海風は気持ちいいかも。エスコートしてくださる？」
「もちろん」
恭しく彼女の手を取ったゾムは、オシャレに着飾って共に軍を出た。
「っ、誰あの美男美女」
「どっちも羨ましい……」
「男の人もイケメンだけど、女の方美人って言葉で済むレベルじゃないよ……アレ。信じられない。神様に愛されすぎじゃない??」
そんな声が至る所から聞こえてくる。Aに話しかける男は居ない。ゾムが近づこうとする度に睨みつけており、しつこいようなら粛清をしているから。そして、彼女程の高嶺の花に話しかける勇気のある男も少ない。
ゾムも話しかけられる事は無い。皆はAに勝てないと分かっているから。どんなナルシスト女でも、自分は彼女よりも劣っていると絶対に認識させられる。
ゾムとやって来たのは、海辺の公園。ビルや船がライトアップされていて綺麗だ。
「っふふ。綺麗だけど、あれらは残業の光なのね」
「悲しいこと言わんとってや」
とてもいい雰囲気だ。ゾムは流れに任せて彼女を抱き寄せてキスをした。
「ロマンチックね。ほんの少しだけときめいたわ」
「ホンマ！？」
「声が大きいわ。っ、」
「どうしたん？」
「少し頭が痛くて。ごめんなさいね。気にしなくていいわ」
「そういうのって寝たら治るで」
ゾムはAの後頭部に手を回すと、グイッと彼女の頭を胸板に寄せる。
「寄りかかってええから。寝ろ。寝付いたら送ったるから」
「悪いわ。折角来たのに。向こうで船に乗れるらしいわよ。行きましょう」
「頭痛いのに、船なんか乗るな。気にせんでええから。な？」
「……っ、貴方と居ると調子が狂うわ」
大人しくゾムの胸板に頭を預けたAはすぐに眠った。ゾムの心臓の音が気持ちよくて。彼の服を握って可愛い寝顔を晒す。
(可愛いすぎるやろ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 866人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無していう名前の名無し - しゅ、しゅきれぇしゅ‥‥‥。翻訳 やっばばばばば、ワイのドンピシャｷﾁｬｰーーーーー神すぎる‼︎‼︎好きです‼︎‼︎。 (8月11日 15時) (
レス) @page50 id: cfc3f2d0fe (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - スッゴい面白かったし最高でしたぁぁぁ!!!まじで神ですね!!!! (2022年12月10日 13時) (レス) @page48 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！！かわいい愛のお話だったなあとしみじみ感じております。ありがとうございます。ひよこの子様の作品の主人公ちゃんってみなさんお可愛いですし生き方に尊敬してます。ありがとうございます。体調にもお気をつけください。好きです。 (2022年9月25日 10時) (レス) id: 0350dafbfb (このIDを非表示/違反報告)
みずき - ん“ん”ん“！！！ック…！どう”どい“！！完結おべでどうございまず！！(泣) (2022年9月25日 2時) (レス) @page45 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - むむさん» 教えてくれてありがとうございます、これから気おつけますm(*_ _)m (2022年9月25日 0時) (レス) id: 07b6abd3f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年9月14日 17時
