1 ページ1
「すまん、待たせたな」
「いいえ。……緊張するわ。こういう事、初めてで」
淫靡な雰囲気が漂うホテルの一室での男女の光景。男の容姿は端麗だが、その瞳には隠しきれない冷淡さが映っている。彼はコネシマ。我々国軍の幹部である。そしてベッドの上で恥じらう女。
「アムール、どうしたん？」
それは、彼女の本名では無い。あくまで
「少し、怖くって。気持ちを落ち着かせたいの。またお話聞かせてくれる？貴方の軍の人のお話は面白くて好きなの」
「そうか。そうやな……じゃあ今日は大先生の伝説のその108を教えたる」
「っふふ、そういえば最近P国との仲が悪いって噂になっているけれど、仕掛けるの？」
「ああ、P国な。トップが変わってからあそこは弱なった。1ヶ月後、万全の体制で挑む。P国の東側を攻撃して、何隻か空母沈めたる」
ようやくだ。ようやく聞きたい情報が引き出せた。彼女は、クスリと笑うとコネシマの頬に指を滑らす。
「強いのね、コネシマさん」
その女の美しさに、コネシマはビシッと固まって頬を赤らめる。彼女の容姿は、絶世の美女という言葉では表せない程美しかった。傾国の美女にもなり得る。動作全てが視線を縫い止め、言葉一つで簡単に堕ちてしまう。だが、甘美な時間は突如として終焉を迎えた。
「っ、危ねぇ！」
「……くっ、」
彼女は目にも止まらぬ速さで銃を抜いてコネシマに突きつけたが、紙一重でそれを交わして女の手を捻りあげる。
「アムールお前、どういうつもりやねん」
驚くほど冷たい声が出た。愛する女に裏切られたコネシマは若干手が震えている。だが、命を狙われた以上は拘束する他ない。
「お願い、許して？」
目に涙を貯めて上目遣いで見る彼女に、コネシマは拘束を解いても良いかもしれないという気持ちが生まれた。しかし、自分の立場を思い出して踏みとどまり、女の首を締め上げる。
「……許せへんわ」
「そ、好都合……だわ」
今までの表情とは違い、嘲笑うかのような薄い笑みを浮かべたあと彼女は意識を落とした。眠る彼女も美しい。命を狙われたのに、そんな事を思ってしまうほどに彼女は美しかった。
彼女は体のどの部分を見ても、完璧だった。神様に愛されて育ったのだろう。誰もがそう思う程。しかし彼女の心は荒んでいた。だから、彼女は大勢に愛されるが、誰も愛せない。
仕事の為の偽りの愛しか持っていない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 866人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無していう名前の名無し - しゅ、しゅきれぇしゅ‥‥‥。翻訳 やっばばばばば、ワイのドンピシャｷﾁｬｰーーーーー神すぎる‼︎‼︎好きです‼︎‼︎。 (8月11日 15時) (
レス) @page50 id: cfc3f2d0fe (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - スッゴい面白かったし最高でしたぁぁぁ!!!まじで神ですね!!!! (2022年12月10日 13時) (レス) @page48 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！！かわいい愛のお話だったなあとしみじみ感じております。ありがとうございます。ひよこの子様の作品の主人公ちゃんってみなさんお可愛いですし生き方に尊敬してます。ありがとうございます。体調にもお気をつけください。好きです。 (2022年9月25日 10時) (レス) id: 0350dafbfb (このIDを非表示/違反報告)
みずき - ん“ん”ん“！！！ック…！どう”どい“！！完結おべでどうございまず！！(泣) (2022年9月25日 2時) (レス) @page45 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - むむさん» 教えてくれてありがとうございます、これから気おつけますm(*_ _)m (2022年9月25日 0時) (レス) id: 07b6abd3f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年9月14日 17時
