番外編:怖い人 ページ44
最近、つけられている気がする。そうゾム君に打ち明けると、彼は持っていた割り箸を真っ二つに折った。無意識だったのだろう。手から血が流れても気にしていない。
「は、Aそれって、どういう……」
「仕事の帰りに、電車を降りると必ず駅から家まで誰かがついてくるの。でも、怖くて後ろ向けないし」
「ストーカー、か？A可愛ええから有り得るなぁ」
「んもう、ゾム君」
真面目な顔をして言うものだから余計照れてしまう。ゾム君は優しく私を抱き締めて、天井の一点を強く見つめる。
「明日、俺早めに仕事切り上げる。そんで、駅でAの事待っとるわ」
「ありがとう、ゾム君。……あと、もうひとついいかな」
「ん？」
私はゾム君の前に一通の手紙を出す。そこには真っ赤な字で私を見ていると書いてあった。先程見た時は鳥肌が止まらなかった。ゾム君は手紙を見るなり物凄い形相で破り捨てる。
「ぶっ殺したる」
ボキボキと手を鳴らして立ち上がると、ゾム君はクローゼットの奥からサバイバルナイフを取り出す。
「落ち着いて…!!」
ゾム君は1時間くらいずっとストーカーを殺すことしか考えていなかった。そして翌日。いつものように駅を降りると、遠くにゾム君の姿を視認した。そのまま歩き出すと、背後から足音がする。
「…ねぇ、」
ついに今日、話しかけられてしまった。怖くて足が震える。
「好きなんだ、ずっとずっと」
私は何とか声を絞り出す。
「ごめんなさい、夫が……居る、ので」
結婚指輪を見せると、ストーカーは怒り狂って、狂気の叫び声を上げながら私の手を引っ張って路地裏に連れ込もうとする。
「やめて…っ、助けて、ゾム君」
「大丈夫やで、A」
安心する声と共にストーカーが吹き飛ぶ。右足で蹴りあげたゾム君は、ストーカーの髪の毛を掴んで、容赦なく顔面に膝を食い込ませる。何度も何度も。
「おい、お前。二度と俺のAに近寄んなや。俺の大事な妻に手ぇ出す言うんなら、次こそホンマに殺すからな。ええな？」
壊れた人形のように首を振るストーカーをゴミ捨て場に放り投げるとゾム君は私の手をギュッと握る。
「ありがとう、ゾム君」
「ああ。もっと早いうちに言え。Aの悩みは俺が全部解決したるから」
「んふふ、頼もしい」
「せやろ？でも俺、心配症やからちょっと後処理済ませるわ」
そう言うとゾム君はグルッペンさんに電話をかける。ゾム君曰く、グルッペンさんはその手の後処理の知り合いが居るらしい。
fin
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ゆ - お話が神すぎて号泣しちゃいました！応援してます！ (5月13日 21時) (
レス) @page50 id: 87c92c6a0b (このIDを非表示/違反報告)
ただの一般人。 - 今までにない展開がたくさんあって、とても面白かったです！！好きすぎて、何回も読み返しては感動。を繰り返しています。完結が惜しいですが、幸せになってくれたのでOKです！ (11月25日 22時) (レス) @page49 id: adc31b39f1 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めっちゃ泣いたンゴ…！！天才ですね！ (7月25日 15時) (レス) @page31 id: 2a8bacdc50 (このIDを非表示/違反報告)
ねお(プロフ) - とてつもなくしゅき…尊すぎて言葉が出ないﾝｺﾞｫｫｫ！ところでご報告なのですが、テラーでこの尊い尊い作品に似たものがございまして…。もしかしたらひよこの子様のパクリなのでは？と思いコメントさせて頂きました。ご確認の程よろしくお願いいたします (7月21日 17時) (レス) id: c2f9d03b74 (このIDを非表示/違反報告)
ここなつぁ。 - めっちゃ好きです…！夢主ちゃんと、zmさんの愛らしい恋物語が描かれていて、なんだかほっこりしました、笑。これからも頑張ってください！ (2023年4月16日 22時) (レス) @page50 id: d72a0ee724 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年9月2日 18時
