番外編:嫉妬 ページ43
「っふふふ、トントンさんってお料理上手なんですね！」
Aは顔を綻ばせる。気に食わんなぁ。今日、俺ら夫婦の家にグルッペンとトントンが来とる。グルッペンはソファに座ってネットニュースを気味の悪い顔で見ていて、トントンは折角やからって料理を振舞ってくれた。だが、客人にやらせるのは悪いとAも一緒に作り出した。
「Aさんのもめちゃくちゃ美味いです。ゾムが羨ましい」
「そうですか？」
顔を見合わせて笑うふたりは、不本意やけどお似合いやなって思った。それと同時に、心の奥底からふつふつと煮えたぎるようなどす黒い感情が沸いてくる。
「あ、Aさんゴミが」
「えっ、あぁ…ありがとうございます」
何顔赤くしてんねん。お前の夫は俺やねんから、そんな奴にそんな顔見せんとって。でも言うたら、嫌われてまうかもしれんっちゅうのが怖くて言えへん。トントンとAは食後の食器を片付けながら談笑している。それが本当に腹立たしくてならない。
一歩間違えたらトントンのこと刺してまうかもしれへん。すると、低い声が部屋に響いた。
「Aさん。近くでフードフェスがやってるらしいぞ」
グルッペンがスマホから顔をあげて言うと、Aは目をキラキラさせて俺らを見回す。行きたいんやろなぁ。
「行きません？」
「ええよ」
「俺は腹いっぱいやからパス」
「俺も」
なんやアイツら張合いないなぁ。でも、Aと2人っきりになれるんやったら別にええわ。もしかしたらグルッペンも察してくれたんかもしれん。
「じゃあ、行ってくる。新しい企画の件、分かったわ。俺の方でも試運転とかしとくわ」
業務連絡を残して、俺らは家を出た。外は夕焼けで染まっていて、Aの頬がチークをしたかのように色付く。
「なぁ」
「ん？」
「俺以外の男とあんな楽しそうに話すなや。俺以外の奴にあんな可愛い顔見せんなや……」
フードフェスに行く前に、俺は家の前でAを壁に追い詰めて言う。彼女は戸惑いながらも、頷く。
「ごめんね、気をつける」
「ああ」
「嫉妬してくれたの？」
「せやけど？」
「んふふ、嬉しい。でもね、ゾム君。私は9割ゾム君の事、1割ご飯のことを考えて生きてるから。安心して。世界で1番大好きな旦那さんなんだから、浮気もしないし。ゾム君以外の男性は恋愛対象にはいらないよ」
「そう…か」
安心した。Aはニコニコ笑いながら俺の手を引く。
「1割のために。行こう、ゾム君」
「仰せのままに」
fin
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ただの一般人。 - 今までにない展開がたくさんあって、とても面白かったです！！好きすぎて、何回も読み返しては感動。を繰り返しています。完結が惜しいですが、幸せになってくれたのでOKです！ (11月25日 22時) (
レス) @page49 id: adc31b39f1 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めっちゃ泣いたンゴ…！！天才ですね！ (7月25日 15時) (レス) @page31 id: 2a8bacdc50 (このIDを非表示/違反報告)
ねお(プロフ) - とてつもなくしゅき…尊すぎて言葉が出ないﾝｺﾞｫｫｫ！ところでご報告なのですが、テラーでこの尊い尊い作品に似たものがございまして…。もしかしたらひよこの子様のパクリなのでは？と思いコメントさせて頂きました。ご確認の程よろしくお願いいたします (7月21日 17時) (レス) id: c2f9d03b74 (このIDを非表示/違反報告)
ここなつぁ。 - めっちゃ好きです…！夢主ちゃんと、zmさんの愛らしい恋物語が描かれていて、なんだかほっこりしました、笑。これからも頑張ってください！ (2023年4月16日 22時) (レス) @page50 id: d72a0ee724 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆのこ(プロフ) - この作品好きすぎて何度も読み返してます。3は超えました。これからも読み返します。本編のネックレスを探すとこもご飯食べているとこも好きなんですが番外編の子供たちは本当にお気に入りです。子供たちに脅威さんのむっつりなところが遺伝してないことを願ってます。 (2023年1月6日 0時) (レス) @page50 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年9月2日 18時
