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あの日から随分と時間が経った。2人とも、あまり触れないようにしている。季節は春に代わり、近所の川には桜の花びらが散り、どこを見ても視界には美しい絵のように映る。
今日は、大好きな焼肉屋が閉店間際の半額セールという服屋のようなことをしだしたから、早速向かっている。残念なことに、ゾム君は大事な仕事が入っちゃって、来れないらしい。
戦友が減って悲しいけれど、ゾム君の分まで私が食べる。
見た目の悪い焼肉屋の戸を開けると、気のいいおじちゃんがニコニコと出迎えてくれる。
「Aさん、いらっしゃい!彼氏さんは?」
「来れないらしいです。このお店も、無くなっちゃうんですね。悲しいです」
「っはっはっは!!!ええ子やな!いつもの席空いてんで」
「ありがとうございます」
スタスタといつもの席へ歩くと、見覚えのある人が居た。いやぁ、よく会うなぁ。
「こんにちは。コネシマさん、鬱さん」
「Aさんやん!!こんにちは」
相変わらず元気な人だなぁ。鬱さんは、Aちゃん隣くる?とクネクネ体を揺らしている。その様子を、ご友人と思われる人2人が引き気味に見ている。
「どうも、ゾムさんの彼女さんですよね!?」
「はい。Aと申します」
いつの間にかコネシマさんに手を引かれ、この席に座ってしまった。どうしよう、抜け出せない。
「あぁ、この人が。ショッピです」
ペコッと頭を下げたショッピさん。お隣の方はチーノさんと言うらしい。皆さんあだ名で呼ぶほど仲が良いらしい。
「Aさん。コネシマさんが奢ってくれるらしいんで、いっぱい食って平気っすよ」
「いやいやそんな!!悪いですよ!数回しか会っていないのに……」
「いや、Aさん。奢りますよ。会ったのは数回でも関係は濃いじゃないですか!!」
「でも」
「ええから。コイツ金持ちなんで、平気っすよ」
そこまで言うなら、お言葉に甘えさせてもらおう。お願いします。そう言った時、チーノさんがニッと爽やかな笑みを浮かべ、私の方を向いた。
「Aさん。ゾムさんとはどうですか」
「えぇ!?色々ありましたけど…まぁ、いい感じに」
「夜の方は?」
「大変ですよ。体力が多くて終わらないし激しいしで……って、何言わせるんですか、鬱さん!」
「ええノリツッコミです!!」
ヤバい。この空気に呑まれたらダメかもしれない。
「Aさん。俺から1つアドバイスが」
自称恋愛マスターの鬱さんが胸を張る。コネシマさんは、伝票を見て顔を青くしていた。
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ただの一般人。 - 今までにない展開がたくさんあって、とても面白かったです!!好きすぎて、何回も読み返しては感動。を繰り返しています。完結が惜しいですが、幸せになってくれたのでOKです! (11月25日 22時) (レス) @page49 id: adc31b39f1 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めっちゃ泣いたンゴ…!!天才ですね! (7月25日 15時) (レス) @page31 id: 2a8bacdc50 (このIDを非表示/違反報告)
ねお(プロフ) - とてつもなくしゅき…尊すぎて言葉が出ないンゴォォォ!ところでご報告なのですが、テラーでこの尊い尊い作品に似たものがございまして…。もしかしたらひよこの子様のパクリなのでは?と思いコメントさせて頂きました。ご確認の程よろしくお願いいたします (7月21日 17時) (レス) id: c2f9d03b74 (このIDを非表示/違反報告)
ここなつぁ。 - めっちゃ好きです…!夢主ちゃんと、zmさんの愛らしい恋物語が描かれていて、なんだかほっこりしました、笑。これからも頑張ってください! (2023年4月16日 22時) (レス) @page50 id: d72a0ee724 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆのこ(プロフ) - この作品好きすぎて何度も読み返してます。3は超えました。これからも読み返します。本編のネックレスを探すとこもご飯食べているとこも好きなんですが番外編の子供たちは本当にお気に入りです。子供たちに脅威さんのむっつりなところが遺伝してないことを願ってます。 (2023年1月6日 0時) (レス) @page50 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年9月2日 18時