【d!】泣きながら飯食うなや【zm】

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諦めない。私は、ゾム君の勘違いが解けるまで諦めない。

しつこいと思われてもいい。鬱陶しく思われてもいい。

それでも私は、今日から明日までずっとゾム君の家の前でゾム君が出てくるのを待つ。

「……なんでだろ」

ゾム君は何を勘違いしてる？

浮気？

騙す？

……あ。

もしかして、昨日のアレ見てたのかな。散々だよ。知らない男にキスされた挙句に、恋人に勘違いされて嫌われて。

寧々さんが仕組んだのかな。いや、それは分からない。真偽不明だし、疑っちゃダメだ。

「ゾム君……」

ゾム君の怒った顔を思い出すと、心が締め付けられる。悲しかった。泣きたかった。

「っ……酷いよ」

零れてきた涙を拭って、扉の横に座り込む。寒いなぁ。早くゾム君出てこないかなぁ。マンションだから、時々人が通る。私の方をチラッと見ては、うわっと顔を顰める。

出てきたらゾム君に言わなきゃ。私は嘘ついてないよって。ネックレスも捨ててないよって。

3時間くらい経った時、ゾム君の部屋から物音がした。しばらくすると、扉が開く。格好からして、コンビニにでも行くのかな。

「ゾム君！」

「……なんでまだ居んねん。気持ち悪いなぁ。ストーカーか。二度と俺の前に顔見せんな言うたやろ。はよ帰れ!!!」

泣いちゃダメ。話を聞いてもらうんだ。

「ゾム君聞いて」

「何をやねん！どうせやってへんとかやろ!?こっちには証拠あんねん！鬱陶しいからとっとと帰れって!!!」

ゾム君の足が、顔面の横を蹴る。顔を蹴らないだけの優しさは残ってるみたいでホッとした。私を睨みつける目には、相変わらず悲しみが浮かんでいる。なんでさっきよりも悲しそうな顔なの？

「チッ、外出る気も失せたわ。はよ帰れって分かるか？ドクズ。失せろっての」

「……ゾム君が話聞いてくれる気になるまでここ動かないから。待ってるから。落ち着いたら来てね」

「迷惑や。帰れ」

そう言ってゾム君は、強く扉を閉めた。ギュッと両手を握って、涙を堪える。

今は気が動転してるだけ。きっと後で落ち着いて話を聞いてくれるはず。

「好きだよ。ゾム君」

聞こえるかな。怒らないで。話を聞いて。

私は絶対にアナタを裏切らない。

夜になると、一層寒くなった。厚着して来れば良かったな。はしたないけど、上着の中に足を入れて体育座りした。

このまま凍死したら……なんてね。っはは。

ゾム君、もう1回私に好きって言って。じゃないと本当に……心が死んじゃう。

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