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驚いた。雨の日に、スーパー行こうかと思ったら、川にAが居ったんやもん。近寄って話を聞くと、怖い男にネックレスを川に投げ捨てられたんやと。
思わず舌打ちしてもうた。
Aに手ぇ出してへんか。そもそもぶつかったくらいでなんてことすんねん。
Aの手は、真っ赤に腫れており、手の皮が剥けて痛々しい。何時間探していたんやろ。
ごめんね、と謝り続けるAを安心させて、俺はAと一緒にネックレスを探し始めた。
正直、無くなったのは悲しいが、Aがあんなになって探すものでも無い。…と俺は思う。
怖かったやろな。悲しかったやろな。
探し始めて20分。Aがあっ!!!と大声を上げた。良かった。見つかったみたいやな。片手にネックレスを握って、Aは俺の元へ走ってきた。
「危ないやんか」
川には大きな石がゴロゴロ落ちとる。Aは、俺の注意など聞きもせずに、ありました!と息を切らしながら笑って言った。
「良かったなぁ」
「ありがとう、ゾム君」
「ほんなら、はよ家帰ろか。風邪引いてまう」
服がびしょ濡れのAに俺のジャンバーを渡し、近くに置いてあるAの荷物を持つ。ジャンバーを受け取って、着たAは、俺から自分の荷物を取ろうとする。
「ジャンバー奪った挙句に持たせるなんて、ダメだよ……」
「ええから。カッコつけさせてや」
俺の言葉に、キュッと袖を握ったAは、小声で呟く。
「もう十分カッコイイよ」
なんやねん、このめちゃくちゃ可愛ええ生き物は。はぁ、抱きたい。
Aの家に着くと、Aは風呂を沸かして着替えに行った。Aの荷物をキッチンに下ろし、タオルで濡れた体を拭く。
「お待たせ、ありがとう。ゾム君」
戻ってきたAはホンマに可愛かった。大量の食材を冷蔵庫に閉まった後、リビングの棚にネックレスを飾る。
「またこうなるのも嫌だし、大切な日以外は飾っとくよ」
「そんな大事にしてくれんの?」
「勿論!!ゾム君からの初めてのプレゼントだもん」
神様。今Aにキスしたら怒りますか。いや、怒らへん。
いつものようにAにキスをしようとすると、Aは俺の顔を両手で挟んだ。今俺はすごく間抜けな顔をしているだろう。
「だーめ。歯磨きしてから」
「ええやん、別に」
「やだ。だめ」
どこまでも可愛ええなぁ。
「そうだ、ゾム君」
「なに?」
「誕生日いつ?」
どこまでも可愛ええAは、話を逸らすためにそんな話題を出してきた。
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ただの一般人。 - 今までにない展開がたくさんあって、とても面白かったです!!好きすぎて、何回も読み返しては感動。を繰り返しています。完結が惜しいですが、幸せになってくれたのでOKです! (11月25日 22時) (レス) @page49 id: adc31b39f1 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めっちゃ泣いたンゴ…!!天才ですね! (7月25日 15時) (レス) @page31 id: 2a8bacdc50 (このIDを非表示/違反報告)
ねお(プロフ) - とてつもなくしゅき…尊すぎて言葉が出ないンゴォォォ!ところでご報告なのですが、テラーでこの尊い尊い作品に似たものがございまして…。もしかしたらひよこの子様のパクリなのでは?と思いコメントさせて頂きました。ご確認の程よろしくお願いいたします (7月21日 17時) (レス) id: c2f9d03b74 (このIDを非表示/違反報告)
ここなつぁ。 - めっちゃ好きです…!夢主ちゃんと、zmさんの愛らしい恋物語が描かれていて、なんだかほっこりしました、笑。これからも頑張ってください! (2023年4月16日 22時) (レス) @page50 id: d72a0ee724 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆのこ(プロフ) - この作品好きすぎて何度も読み返してます。3は超えました。これからも読み返します。本編のネックレスを探すとこもご飯食べているとこも好きなんですが番外編の子供たちは本当にお気に入りです。子供たちに脅威さんのむっつりなところが遺伝してないことを願ってます。 (2023年1月6日 0時) (レス) @page50 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年9月2日 18時