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コネシマさんの献身的な介護のおかげで、無事回復することが出来た。回復した私よりもコネシマさんの方が喜んでくれて、起きた瞬間物凄い勢いで抱きつかれて骨が何本か折れたような錯覚に陥った。
「鮭フレーク作ってみました〜!」
「ん!美味い!米に合うなぁ!!」
「へへ、良かったです」
ガツガツとご飯を食べるコネシマさんを見ていると、嬉しくなってくる。
「じゃ、行ってきます」
「頑張ってください!」
「A」
「はい?」
ドヤ顔でしゃがむコネシマさん。何がして欲しいのかわ分からず首を傾げると、コネシマさんはガシガシと頭を搔く。
「キス」
「へ」
「行ってらっしゃいのキス!」
「え、あ、え、私がですか?」
「お前以外に誰が居んねん!幽霊でも住んでんのか、この家は!」
「っそ、そうですよね。はい。分かりました。目ぇ閉じてください」
コネシマさんは元気に返事して、目を閉じた。改めて見ると本当に、憎たらしいほど綺麗な顔してるな。再度目を閉じていることを確認して、キスをする。
「顔真っ赤やん」
「んなっ!?」
「朝からええもん見れた。ご馳走様〜」
「も〜!!」
「ハッハー!!ア゛ーーーッ゛ハッハッハ!!!」
「近所迷惑です!!!」
早朝の曇天に、コネシマさんの大きな笑い声が響いた。電線に止まっている鳥たちは驚いて逃げ出し、ご近所さんは窓を強く閉めてうるさいと主張してくる。ごめんなさい……うちのコネシマさんが。大変な夫を持った妻のような気持ちになる朝だった。
洗濯物を回して干して、その間に別の洗濯物を畳んで。家中の掃除を終えて休憩しながらお菓子を食べる。家事は大変だけど最高な一日だ。スナック菓子を貪りながら、昼のニュースを見る。コメンテーターには、前に会ったグルッペンさんが出て居た。
「ええ、結局彼らは利己的な人間でしかないのですよ。己の眼鏡でしか人を測れず、自らが作り上げた偏見で人を判断する。そして誤った認識と誤った正義感で、殺人に及ぶ。そして自分は悪くないと正当化するのです。自らがやった事は社会への貢献だとか、勝手にそう自己完結してしまう。奴らを刑務所にぶち込んでも無駄ですよ。自分の過ちを正当化してしまうのだから。それは人類共通です。ええ、かと言って憲法がありますからね。無闇矢鱈に死刑にはできない。これは全く」
グルッペンさんってあんな饒舌なんだ。アナウンサーが引くくらい話していた。1袋を食べ終えたところで、家のチャイムが鳴った。
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まっくろしろすけ - 最初にマグロって出てきて「わ!マグロや!」ってなりました!(なんでマグロでわー!ってなってるのかわかるひとには分かると思う!)この小説好きです! (8月5日 0時) (レス) @page15 id: 017cec3e53 (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - あえ?完結しちゃった…。いや、喜ばしいことなんだけども!好きな小説が終わっちゃうと少し寂しいですね…。次回作も期待してます! (7月23日 15時) (レス) @page43 id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - ??????????????神かな????????????あ、神だったわ。…周回しよ……。 (2023年5月15日 23時) (レス) id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - ふふふふふふふふふふふふふふふ嫉妬する夢主ちゃん可愛い(´∀`*)ウフフ動けない…?あっ…(察し)二人共お幸せに〜楽しめよ〜 (2023年4月27日 22時) (レス) @page42 id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
しょしょ - kn夫婦てぇてぇ… あの女子高生分かりみが深すぎるんじゃぁ〜 (2023年4月14日 22時) (レス) @page41 id: 275501d424 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2023年3月25日 14時