それで充分【ci】(ラビット_) ページ25
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いつも、背中合わせの間柄だった。高校入学と同時に、出会った彼。背の低い自分にとっても、周りにとっても背が高い男子だった。そんな彼とは席が前後で。思わず小声で、黒板見えんのやけど、と文句を呟き、その声を彼が拾ったあの日から、この関係は始まった。
女子も男子も、自分や周りの恋愛話で浮ついている中、私とチーノは本当にさっぱりとした関係だった。お互いに、友情以外の感情を持たない。休日に、他の友人達も交えて。通話を繋げながらゲームをしたり、遊びに行ったり、駅まで一緒に帰ったり。
ただ、2人きりでの通話の時もあれば、下校時には、気が付けば毎回隣に並んでいただけ。その中に下心なんて、さっぱり含まれていない。
無意識に、休み時間になる度にチーノの姿を探して、喧嘩をして、友人達に迷惑をかけて、馬鹿みたいな話をして笑っている。それでも私は、この関係が好きだったのだ。散々周りに言われたけれど、全く気にしなかった。
チーノといる時間が、過ごしやすくて好きだった。勿論その中には恋愛的な感情なんて全くなくて、チーノの事が人間として心の底から好きだった。なんでも気軽に言い合えて、お互いに堂々と親友だと呼べる仲。周囲の友人達以外のクラスメイトには、何度も揶揄われたり弄られたりしたけれど、自分たちだけが、真実を分かっているのならそれで充分だった。
進級し、クラスが変わった。教室は1番離れているクラスだったけれど、お互いに暇な時は教室に遊びに行っていたり。付き合ってるのか何度も聞かれたけれど、今まで通り、違うと答えていた。冷やかしの声も、揶揄いの声だって何度も聞いたけれど、それ以上に否定の言葉を告げれば、段々と彼らも飽きていった。
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作者名：ひよこの子
x他8人 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年8月6日 18時
