失恋も青春の内。【rb】(ふぉっさ) ページ13
初恋は叶わない。
昔、誰かがそう言って友人を揶揄っていたのを思い出す。恋なんぞ、無縁だと思っていた当時の私にとっては、馬鹿馬鹿しくて仕方が無かったこの言葉。
今になってその言葉の重みを感じる。
その言葉通り、虚しくも私の初恋は儚く散った。
「すまん。俺他に好きな人おるから。」
変な気遣いが混じっておらず、何処か素っ気無い彼の言動。
薄々気付いてはいた。彼の視界にいつも入っていたのは、紛れの無い私の親友だと。
まずまず、私と彼が釣り合う筈が無かったのだ。文武両道、容姿端麗が似合う彼。非の打ちどころが無く、正に完璧。女の子が一度は憧れる白馬の王子様的存在だった彼。
幾ら、私が一生懸命に手を伸ばそうと届く筈が無かったのだ。
頭の中では、分かっている。分かりきっている筈なのに。どうして、目から溢れ出した涙は止まらないのだろうか。どうして、こんなにも心が苦しいのだろうか。
そんな自問自答を繰り返しながら、目を頻りに擦る。視界が晴れた頃には目の前に桃色の可愛らしい君が居た。女の子と見間違える程背が小さく、桃色の瞳を持つ可愛らしい君。少し女の子と接しただけで頬を染める素振りもまた、愛らしい。
君は今の光景で、大体を察してくれたのか優しく背中をさすってくれる。君のように可愛らしくて、心暖まる優しさがあったら彼は私の事を少しは見てくれたのだろうか。
君の優しさからも彼を考えてしまう。それ程彼に惚れ込んで居たのだろう。今更ながらも、実感する。其れ程惚れ込んでいたからこそ、大嫌いな勉強だって、人一倍苦手な運動だって力を入れる事が出来たのだろう。
十分やった。やれる事は全てやった。私と彼は繋がるべき人じゃ無かった。そう諦めなければ、一生彼から離れられない気がして。
今はただ、君の優しさに身を傾けた。
君の優しさとは相反して、君の優しさに漬け込んでしまっている自身の汚さに失望する。そんな感情を消し去る様に君はこう言った。
「なあ、」
「俺と、付き合ってみいひん?」
『、えッ』
「ずっと、Aの事が好きやった。
今も、これからもずっと好きや。
付きおうてくれへん?」
吃驚した。声が上手く出ない。どう返答すれば良いのだろう。彼に恋愛感情を抱いた事は一度も無かった。それでも、いざ告白されるとなると悩んでしまう。はい、と言ってしまえば、彼を利用してしまうようで。いいえ、と言ってしまえば彼との関係が崩れてしまう。
それでも、私の答えは。
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作者名:ひよこの子 x他8人 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年8月6日 18時