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「マンちゃーーーん！」
ある日、オスマンがロボロと共に北棟の前を歩いていると、そんな声がした。クルッと振り返ると、Aが猛スピードで走ってきて、オスマンにしがみつく。
「どしたん」
「……マンちゃ。ロボロ、助けて」
か細い声に、オスマンはしっかりとAを抱き締める。子をあやすような、落ち着かせるような。ロボロは不思議そうにその様子を眺めていた。
「ゆっくりでええから。話してみ。……ロボロが居るのが嫌なら席外して貰うけど」
「いや、違うの。あのね」
ギュッと手を合わせたAは、北棟の入口を指さす。
「拷問で使う虫が入ってる箱が、壊れちゃって。100匹以上逃げ出した。助けて……」
想像以上にくだらない理由に、オスマンは呆れ顔でAから手を離す。
「お前なぁ、」
「なっ、バカにしないでよね？かなりキモイから」
「行くぞ、ロボロ」
「見捨てないでよ……!!!」
可哀想だと思いつつ、ロボロはオスマンと共に去った。このことをグルッペンに話すと、放っておいて良いと言われた。
北棟は、負の棟と言われるほど兵士たちに忌み嫌われている場所だ。そこには、拷問室や牢屋、処刑場などがあり、幽霊が出るという噂も絶えない。
どうせ北棟に居る奴は牢屋に居るやつくらいだからな放っておいても平気だと。自分が大丈夫じゃない、というAの必死の訴えに、トントンを貸してくれた。
「ありがとう。トントン。一生愛す」
「いや、ええ。精神削がれたわぁ」
「あの虫でどうやって拷問すると思う？」
拷問室で休んでいたトントンは、その質問に顔を上げる。血腥い部屋で、笑いながら茶を飲むAは、なんだか似合わない。
「えぇ、なんやろ。食わせるとか？」
「あー、良い発想だね。今度やってみようかな〜」
机の上にティーカップを置いたAは、壁に掛けてあるドリルのようなものを手に取り、トントンの目の前に突き出す。
「これで、相手の腹に穴を開けるの。それでね、その中に竹筒をねじ込んで、胎内に直接虫を入れるの。最悪でしょ。虫たちは体の中を食い破っていく。でも、すぐには死ねない。気持ち悪さと痛みで心身ともに追い詰める拷問。想像してみ？体の中で芋虫とかゴキブリとか蛆虫とかハサミムシとかが動き回るの」
馬鹿正直に言われた通り想像したトントンは、先程食べた朝食を床に吐き戻した。拷問で嘔吐に慣れているAは、ケラケラ笑いながら問う。
「大丈夫〜？」
「さ、最悪やお前」
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みかん - 一気読みしました！凄く面白かったです！ (12月15日 21時) (
レス) @page50 id: 23cbb9e2de (このIDを非表示/違反報告)
ほよん - みんな彼女を大切に思ってるんだなと思いました！とても面白かったです✨ (8月14日 14時) (レス) @page50 id: 3ca2752c0f (このIDを非表示/違反報告)
n - 久しぶりに神作読ませて貰いました！めっちゃ面白かったです！ (6月13日 12時) (レス) @page50 id: a313beec07 (このIDを非表示/違反報告)
ｎｎ - いい意味で鳥肌が立ちました、、！！めちゃくちゃ面白かったです！！ (2023年2月1日 23時) (レス) @page50 id: d2a3e7d3b4 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - この作品も最高だったぁぁぁ!!!!!Ｒじゅーはちじゃないのでみられてうれしいです!!他の作品も見ますね!!!!! (2022年12月9日 20時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年2月9日 20時
