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朝目覚めたAは、目を擦りながら大きく伸びをして起き上がる。ベッドサイドのテーブルの上には、Aがいつも着ている軍服と白衣が。ゾムが用意してくれたのだと考えると、口角が上がってしまう。
着替えなどの身支度を済ませたAは、そのままスキップで食堂へ向かった。すれ違う兵士達は、皆幹部ということもあり敬礼はするが、奇怪なものを見るような目をしていた。
「おはー」
「おはよ」
席に座ったAを皆は、ジッと見つめる。Aは小さく首を振ったが、どこか嬉しそうだった。
「A。後で医務室行ってもええ?」
「いいけど……珍しいね、トントン」
「最近寝れんくて。ええ薬あったら頂戴や」
「どっかの馬鹿共のせいじゃない?」
パクパクと朝食を食べ進めながら、馬鹿共もとい書類未提出常習犯達を横目で見る。
「Aちゃん。俺も寝れへんかも〜毎晩俺に膝枕して子守唄歌って〜!!」
「おう、安心しろ大先生。俺が今すぐ永眠させたる」
「嘘嘘!ゾムさんストップ」
食パン用のバターナイフもゾムが持つとサバイバルナイフのような攻撃性を持ちそうだ。スっと鬱先生の前からバターナイフを下ろしたゾムは、Aを抱き寄せる。
「お前らには勿体ないくらいのええ女や。Aは。絶対渡さへんぞ」
「……ほーん、良かったな。A」
「うん!」
コネシマが言うとAは満面の笑みで頷く。ゾムにはクリティカルヒットだったらしく、脳内で『可愛い』の文字がやまびこしている。
「じゃあ、俺行くわ」
「あっ、俺も」
「仕事行くかぁ」
皆は立ち上がって各々の仕事に向かう。医務室の鍵を開けたAは、消毒液などの独特な香りの入り交じった部屋の匂いを嗅いで項垂れながらデスクと向かう。
トントンは夕方来るらしいので、今は書類仕事に専念できる。しばらく筆を進めていたら、不備を見つけた。珍しくトントンからのもので、余程疲れているのだろうと彼を憐れむ。
「行くかぁ」
重い腰をあげてトントンの部屋へ向かう途中、女性の甘ったるい声と聞きなれた男の声が耳に入った。
「ゾムさぁん。コレ見て下さい!」
「ふーん、ええ感じやん。それでいいと思うで」
「やったぁ!ありがとうございます」
女は、ゾムの腕に胸を押し当てて喜ぶ。
(あれは、ショッピ君からの秘技!!!)
それにも驚いたが、何よりAは心を針で刺されたような痛みに襲われた。
(嫌がらないの?私の時はすぐ離れたのに。なんか……嫌な感じだなぁ)
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けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品もまじで最高でした!!!!他の作品もみるのはもちろんお気に入り登録もしときました!もう最高でした!!もう言葉にならないです!!!!! (2022年12月11日 9時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
一条なつき(プロフ) - めちゃくちゃ良かったですひたすら鼻水ズルズル涙ドバドバで読ませて頂きました!! (2022年10月7日 2時) (レス) @page45 id: 10435debae (このIDを非表示/違反報告)
黒輝 雷音⚡ - 途中emさんが舌打ちしながらカーテン閉めるのでめっちゃ爆笑しちゃいました!(笑)めっちゃ面白い作品でした! (2022年9月26日 2時) (レス) @page45 id: a7e2765b25 (このIDを非表示/違反報告)
這い寄る脅威(プロフ) - ピくんーーーーー!!!www (2022年8月29日 0時) (レス) @page49 id: 0893c6b06a (このIDを非表示/違反報告)
コム@スランプなう(プロフ) - 夢主可愛い…zmさんッ!僕にもその子貸しt)))←おまわりさーんこいつでーす 番外編ちょくちょくかいてくれるの嬉しいです😊 (2022年8月28日 13時) (レス) @page49 id: 0ee0aa5caa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年8月1日 20時