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「……おい、Aは諦めへんぞ。こんな事で」
そう発したのは、Aといがみ合い、罵りあい、でも恐らく1番時間を共にしたグルッペンだった。
「俺、まだAが生きとる気ぃする。はよ連れてけ」
「っ!!!!はい!」
救護班は急いでAを手術室に連れていく。皆もゾロゾロと手術室を見に、手術室の隣のガラス張りの部屋に入って、医師らの奮闘を見る。
「……人工心肺装置に、繋いで見ますか」
「用意してます」
「我々には、A先生ほど神がかった手術はできない。けれども、彼女の技術は散々盗んだ。あの人は、何人も生き返らせてきた」
それは、Aが今まで成し遂げてきた事の1部である。だが、今その経験は、知識は次の世代に受け継がれて1人の命を救おうとしている。
「体温が……回復してきました!」
「僅かながら、心拍が再開!!!」
「体温を安定させつつ、内部の手術を!!!」
Aは、何とか生きようともがいていた。ならば医者としてその手を掴んでやる他ない。
「生き……とる?」
ゾムは安堵から力が抜けてその場で泣いた。声が枯れるほど泣いた。それは、他の幹部達も同様だった。Aの心電図から、弱々しくともAの心臓が脈打っている事がわかる。
「心配……かけやがって、あの馬鹿」
グルッペンも珍しく泣いており、眼鏡をあげて涙を拭っている。
そこからは時間との勝負だった。だが、彼らはAの技術を徹底的に叩き込まれている。世界でも有数の医者に育っている。
何千ものパターンが瞬時に頭で組み立てられるAとは違うが、それでも必死に繋いだ。Aの命を。
「終了」
「成功した……!!!」
「嘘やろ!?」
「ああああああ!!!!!!!良かった!!!!!!」
叫ばずには居られなかった。深夜に男たちの雄叫びが響く。
Aは管や呼吸器を沢山つけられながら、療養室に移れる事になった。
「さてと、ゾム以外は犯人探しに徹しようじゃないか」
「……俺さ、Aが新しいナースに呼ばれとるの見たんやけど」
「それやん、絶対」
それを聞いて、ゾムは目の前が真っ暗になった。
嫉妬に狂った女の犯行だとすぐに分かったから。自分のせいで、Aがこんな目に遭った。ゾムはAの眠るベッドに横で、3日も4日も、ずっと待った。起きた時に、1番におかえり、そう言えるように。
犯人はやはりナースで、ゾムが好きだったことが判明した。
「A。もう、終わりや。俺ら、目ぇ覚めた時が最後。……別れようA」
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けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品もまじで最高でした!!!!他の作品もみるのはもちろんお気に入り登録もしときました!もう最高でした!!もう言葉にならないです!!!!! (2022年12月11日 9時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
一条なつき(プロフ) - めちゃくちゃ良かったですひたすら鼻水ズルズル涙ドバドバで読ませて頂きました!! (2022年10月7日 2時) (レス) @page45 id: 10435debae (このIDを非表示/違反報告)
黒輝 雷音⚡ - 途中emさんが舌打ちしながらカーテン閉めるのでめっちゃ爆笑しちゃいました!(笑)めっちゃ面白い作品でした! (2022年9月26日 2時) (レス) @page45 id: a7e2765b25 (このIDを非表示/違反報告)
這い寄る脅威(プロフ) - ピくんーーーーー!!!www (2022年8月29日 0時) (レス) @page49 id: 0893c6b06a (このIDを非表示/違反報告)
コム@スランプなう(プロフ) - 夢主可愛い…zmさんッ!僕にもその子貸しt)))←おまわりさーんこいつでーす 番外編ちょくちょくかいてくれるの嬉しいです😊 (2022年8月28日 13時) (レス) @page49 id: 0ee0aa5caa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年8月1日 20時