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ただただ自分が嫌になって、Aは自室に鍵をかけてベッドの上で蹲る。次第に涙が溢れてきた。ゾムは何も悪くないのに、また傷付けてしまった。
「馬鹿だ……私……本当に馬鹿」
だからAは気付かなかった。自室に人が忍び込んでいるなんて。後ろから、急所を突かれて意識が薄れる。
「っ!?」
「貰っていくぞ。最高戦力の弱点」
それは敵国の工作員だった。我々国の最高戦力であるゾムの弱点がAであると知り、攫いに来た。Aは必死に抵抗する。だが、もう一度鳩尾を殴られると、そのまま意識を落とした。
「……珍しいな、Aが居らんなんて」
「アイツ朝飯大好きやのに」
翌朝、Aが食堂に来ないことを不審に思った幹部らは、空席を心配そうに見つめる。ゾムは昨日のせいだろうかと項垂れる。
「なぁ……どうやったら、傷付けずにAを抱 けるんや」
「お前ら思考一緒やな……」
トントンが呆れる。ゾムは昨日あったことを皆に話す。
「ええねん、そんなんぶち込んだらそのうち怖なくなるわ!!」
「それでもし、俺の事トラウマになったらどうすんねん!可哀想やろ!」
「初めては誰だって怖いやろ。それをリードすんのが、お前の仕事や」
「……でも、やっぱり嫌や。俺だけ夢中になって、A傷付けんの。訓練中も集中しとったら、俺周りの情報とか遮断されるやんか」
「せやな。あん時のゾムは誰にも止められへんわ」
「せやから、欲に任せて動いたら絶対Aを傷つけてまう」
ゾムは悔しそうに言う。皆は意外だった。まさかゾムがそこまで考えているとは。そんなにAに惚れ込んでいるとは。
「まぁ、とりあえず、訓練前にAの部屋行って謝ってきたらどうや?」
「……ああ」
早めに朝食を終えたゾムは、靴紐を結ぶと、息を吐く。次の瞬間、足に力入れて一気に走り出す。風のような速さでAの部屋に辿り着いたゾムは、緊張しながら戸を叩く。
「A」
しかし返答はない。
「怒っとる?……ごめん、A。そうや、デート行こうや」
全く返事が無いどころか、人の気配がしない。嫌な予感がしたゾムは、扉に手をかける。しかし鍵がかかっていたため、一気に押して破壊する。
「A!!!!」
しかし、部屋にAは居らず、争った跡と血痕がベッドの上にあった。窓が開いている。ゾムは青ざめながら、急いで幹部全員に通達する。
「Aが居らん。部屋が荒れとる。攫われたかもしれん」
ゾムは口にするのも辛かった。
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けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品もまじで最高でした!!!!他の作品もみるのはもちろんお気に入り登録もしときました!もう最高でした!!もう言葉にならないです!!!!! (2022年12月11日 9時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
一条なつき(プロフ) - めちゃくちゃ良かったですひたすら鼻水ズルズル涙ドバドバで読ませて頂きました!! (2022年10月7日 2時) (レス) @page45 id: 10435debae (このIDを非表示/違反報告)
黒輝 雷音⚡ - 途中emさんが舌打ちしながらカーテン閉めるのでめっちゃ爆笑しちゃいました!(笑)めっちゃ面白い作品でした! (2022年9月26日 2時) (レス) @page45 id: a7e2765b25 (このIDを非表示/違反報告)
這い寄る脅威(プロフ) - ピくんーーーーー!!!www (2022年8月29日 0時) (レス) @page49 id: 0893c6b06a (このIDを非表示/違反報告)
コム@スランプなう(プロフ) - 夢主可愛い…zmさんッ!僕にもその子貸しt)))←おまわりさーんこいつでーす 番外編ちょくちょくかいてくれるの嬉しいです😊 (2022年8月28日 13時) (レス) @page49 id: 0ee0aa5caa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年8月1日 20時