34 ページ34
黒インナーだけになったトントンを申し訳なさそうに見あげるA。それに気づいたトントンはAが怖くないようにしゃがんで身長を合わせて喋る。
「ここで何しとったん？」
「……トントンにお礼言いに来た。まだ、言えてなかったから。部屋、綺麗にしてくれてありがとう。これ、口に合うか分からないけど」
「……ジャム？」
「先週街で買ったの。昔、美味しかったからもう一個買って。まだそれには手、付けてないから」
「美味そうやなー。ありがとう」
「こちらこそ。今のも、だし」
「……A。男が怖いんやったら、俺らで克服せん？」
医者であるAは、トントンの言わんとすることを瞬時に察して首を振る。
「皆、忙しいし。付き合わせらんないよ」
「夜、30分くらい話すだけでええ。そんで慣れたら、一般兵とかと話してを大丈夫やったら仕事に復帰すればええ」
「一般兵……か」
先程の出来事を思い出して、Aは俯く。その手が震えている事に気づいて、トントンは優しく笑う。
「ああいうのは例外やけど。大抵の奴は優しいから。大丈夫」
「うん、」
1度自室に戻って着替えたAは、その足で総統室に向かった。ノックをする手が今日は妙に弱々しい。
「A」
「ん、入れ」
Aが部屋に入ると、グルッペンは座ったまま着席を促す。
「…聞いた。トン氏から」
「……ごめんね、情けなくて」
「情けない訳ない。大丈夫。あの兵士たちは半年の謹慎処分とした」
「そう……ねぇ、グルちゃん。お願いがあるんだけど」
「俺にできる範囲内でなら聞いてやる。なんや？」
あえて目を合わせていなかったが、顔を上げたグルッペンはジッとAの目を見る。
「今日の夜、空いてる？」
「！？」
「あっ、そういう意味じゃなくてね」
「……そうか。荒治療にも程がある……」
「そんなことはしないよ。ゾムを裏切りたくないからね。……あのさ、30分くらい話し相手になってくれない？」
「構わんが……ゾムは、許すか？それ」
「じゃあゾムも連れてきていい？」
「ああ。当たり前やん。慣れたらチーノ君と話したらどうや？」
「なんで？」
「目つき悪いやん。克服にはピッタリの相手やない？」
「っふは、チーノ君もグルちゃんには言われたくないんじゃないかなぁ」
「俺、目つき悪いか？」
「グルちゃんはオーラが悪い」
「なんやねんそれ」
やはりグルッペン相手だと比較的話しやすいらしい。
「じゃあ、また。ありがとうね」
「ああ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1455人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品もまじで最高でした!!!!他の作品もみるのはもちろんお気に入り登録もしときました!もう最高でした!!もう言葉にならないです!!!!! (2022年12月11日 9時) (
レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
一条なつき(プロフ) - めちゃくちゃ良かったですひたすら鼻水ズルズル涙ドバドバで読ませて頂きました！！ (2022年10月7日 2時) (レス) @page45 id: 10435debae (このIDを非表示/違反報告)
黒輝 雷音⚡ - 途中emさんが舌打ちしながらカーテン閉めるのでめっちゃ爆笑しちゃいました！(笑)めっちゃ面白い作品でした！ (2022年9月26日 2時) (レス) @page45 id: a7e2765b25 (このIDを非表示/違反報告)
這い寄る脅威(プロフ) - ピくんーーーーー！！！www (2022年8月29日 0時) (レス) @page49 id: 0893c6b06a (このIDを非表示/違反報告)
コム＠スランプなう(プロフ) - 夢主可愛い…zmさんッ！僕にもその子貸しt)))←おまわりさーんこいつでーす 番外編ちょくちょくかいてくれるの嬉しいです😊 (2022年8月28日 13時) (レス) @page49 id: 0ee0aa5caa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年8月1日 20時
