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エディスを地下牢にぶち込んチーノは、ケラケラ笑って、Aの頭に手を置いた。
「お手柄やん」
「ありがとうございます」
身を縮ませて、チーノの手を避けると、Aはサッサと部屋に戻った。ムッと口を尖らせたチーノは、しつこくAを追った。
「なんで避けるん?そんな俺の事嫌い?」
「嫌いじゃないです。苦手です」
「ほぼ一緒やろ。なんで嫌いなん?」
「タイプが一緒だからじゃないですか?……いや、もう少し無干渉になってくだされば、好きになるかもしれませんね」
「えー、折角の後輩やし、可愛がりたいやん」
「その後輩が望んでない事をするのは……ねぇ?」
「可愛くない奴〜」
「結構です。では」
自室へ戻ったAは、ベッドに寝転んだ。枕元の机には、1つのカメラが置いてある。前に、エーミールのカメラが壊れたらしく、高いの欲しいなぁと呟いていたのを聞いたAは、犯人探しを引き受ける代わりに、高いカメラを買ってもらった。
しかし、渡すタイミングが分からない。今まで、人と深く関わってこなかったAは、イマイチ人との接し方や、どうすれば喜ぶのかというのを考えるのが苦手だ。
カメラを綺麗な袋に包み、エーミールの部屋を訪れた。相変わらず綺麗で、本や資料だらけだ。
「Aちゃん、何それ」
「……プ、プレ……ゼント……です」
恥ずかしそうに渡したAは、小さく、開けてください……と目を逸らして言った。エーミールは、袋を開けた瞬間、目元を緩ませ、Aを撫でた。
「ありがとう、優しい子やね」
「……日頃の、お礼と、あの時助けてくれたお礼です」
「あの時って……10年前の話やん。あ、折角やし、写真撮る?」
「……いいですね」
エーミールと初めて会った日、まだY族が幸せに暮らしていた時の事。Aは、エーミールと出会い、話が合って仲良くなった。エーミールが勤めている大学の前で撮った写真は、Aの唯一無二の宝物だ。
それを、16年越しにもう一度撮る。大学ではなく、基地の前で、Aとエーミールは並んだ。
近くを通ったゾムにシャッターを切って貰った。
「行くで〜、ハイ、チーズ」
16年前と違って、笑顔が硬いAと、少し老けたエーミール。だが、Aにはいい思い出となった。
「部屋に飾りますね」
「恥ずかしいなぁ」
「仲ええな、ホンマに」
睨むように見るゾムに、Aはへらりと笑って返す。
「教授は、家族みたいな方ですから」
「ふーん」
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蒼 - ページ40の話の上から11行目(文字が開いて行数で書かせていただいております)zm様の言葉が、「分かった!!行ってくる!! という表記になっております。細かくて申し訳ないです。ごめんなさい。 (8月24日 3時) (レス) @page40 id: 7197a413b4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - え……え????いや、これは訳ありパターン…続編も楽しみにしてます! (2021年3月30日 17時) (レス) id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
BAND(プロフ) - え、夜ダメとか可愛いかよ((( (2021年3月30日 14時) (レス) id: 89d985a64d (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - コメント失礼します!64がなにもない状態で公開されちゃってます!あれ?私が見えてないだけでしょうか…間違いでしたらごめんなさい。 (2021年3月27日 17時) (レス) id: 0c3a2b2511 (このIDを非表示/違反報告)
小茶丸 - 続編おめでとうございます!続きが楽しみだぁ! (2021年3月23日 23時) (レス) id: dd1575ae33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月22日 18時