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「えっ？」
「離れ、た方が、ええ……逃げて、ください」
うっすらと目を開けてなんとか言葉を紡ぐ。状況を飲み込めないチーノ君達もこちらへ駆け寄ってくる。
「A……さ、すみま、せん」
「喋らないで。……チーノ君。至急ショッピ君を車に乗せて病院へ」
「分かりました！」
痛みに顔を歪めつつ断片的な情報をくれるショッピ君。ドクドクと彼の腹から溢れる血をどうにかせねばならない。私には医療の心得はないから、火で炙って止血するのは些か抵抗がある。だから私の今持つ知識で対処するしかない。
「痛いよね、我慢できる？」
「は、い」
ハンカチで傷口を圧迫して、空気に触れさせないようにする。ショッピ君は私の腕を掴んで痛みに耐えている。やがてショッピ君は力が抜けてズルっと手を落とした。
一瞬、死んでしまったのかと思って心臓が飛び跳ねたが、痛みで気絶しただけらしい。
「Aさん！準備整いました」
「教授。運ぶの手伝ってあげてください」
「うん」
ショッピ君を2人がかりで持ち上げて、車の後部座席に寝かせる。山道はでこぼこだから心配だが、きっと大丈夫だろう。ブロロロロ、と発進した車を横目に教授と家に戻る。血に塗れた玄関。彼に起こった悲劇を思うと胸が痛い。
安全確認の為に先に教授が進んでいく。私は玄関で待機だ。扉の鍵を2個とも閉めて、上がり框に腰をかける。手が震えている。ショッピ君、どうか無事でありますように。
そう願っていた時だった。奥の部屋で教授の甲高い悲鳴が聞こえてきた。
「ああああっ!!!!」
「教授！？」
慌てて靴を脱いで上がり、廊下を駆ける。教授の声のした部屋に入ると、教授がワイヤーのようなもので吊られていた。首にかかったそれは彼の呼吸を妨げる。苦しみから藻掻く教授の爪がさらに彼の首を傷つける。
「ワイヤートラップ……!!!」
急いで椅子を持ってきて登り、彼の首を戒めるワイヤーを外す。ワイヤーに吊られていた身体はそのままドサッと床に身を投げられた。上手く受身を取った彼は、ニコリと笑って頭を下げる。どこからかガタガタと物音が聞こえる。暴れるような、そんな音。我々国軍の誰かが潜んでいるのだろう。
「教授、大丈夫ですか？一体誰がこんなこと……っ!?」
ダン、と背中に走った衝撃。教授は気味の悪い笑みを浮かべながら、壁に私を追い詰めてギリギリと首を締め上げる。苦しむ私の顔を嬉しそうに眺めて。
「きょ……じゅ、な、んで……？」
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硝子玉(プロフ) - 最後まで不穏ですね、彼らが妥協するまで眉を顰めて読んでいました。面白かったです。後輩2人が実は同じことしてた、なんて考えましたが流石にそんなことありませんでした。誰の子とも言える書き方が素晴らしいと思います。命令内容が子供を守れとかだと面白いですね。 (8月3日 17時) (
レス) @page41 id: d2ec184a3c (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - めっちゃ良かった！！emさんとsypくんとciくんが…！カッコ良すぎて萌え死にする…！そしてなんとなくgrさんだと思います。他の作品も頑張ってください！ (2022年12月27日 9時) (レス) @page38 id: bb7bb5003e (このIDを非表示/違反報告)
かきくけの(プロフ) - 個人的にはsnが味方っぽいけど本当は幹部達と同じことしてて、罪悪感から助けてだけど子供がsnの子だったから顔が合わせられなかったとかだったら熱いな。でもたぶんgrさんの子な気がする (2022年10月17日 23時) (レス) id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるぽろう - 完結おめでとうございます…そしてありがとうございます…！！！序盤が凄く暗かったからこそ、最後のあたたかい終わり方が心に沁みました。てかemさんとshpci後輩かっこよすぎですね一生愛せます！！！今回も素晴らしすぎる作品をありがとうございました！！！ (2022年10月15日 13時) (レス) @page38 id: 8509ca10df (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ*(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！！本当に物凄く心を掻き乱された作品でした。とてつもなく良い意味で。素晴らしい作品をありがとうございました！！ (2022年10月15日 13時) (レス) id: ddb5b2a27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年9月26日 18時
