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教授が地を蹴り、トントンに蹴りを入れるが、トントンは容易く躱してチーノ君の鼻を殴りつける。チーノ君は食らいつつもトントンの腹に1発パンチを。しかし、それじゃあトントンは止まらない。チーノ君と教授の首を貫手で突く。咄嗟に倒れ込んだ2人に容赦なく大剣を翳してケリをつけようとしたその刹那。

「グッ、」

トントンの足を私の銃弾が撃ち抜いた。

「A……なん……で……」

「貴方の癖は把握してる。そうやって大剣を振りかざして、一気に敵の首を落とそうとする時、必ず左足を前に出して、右斜め上から切り落とすの」

トントンでさえも気付いてなかった癖。足を負傷したトントンは教授とチーノ君によって逆に不利な立場に立たされる。

「ッ、意外と深手やわ。でも、Aにつけられた傷なら愛おしいわぁ」

恍惚とした表情を浮かべたトントンは足を引きずって消えて行った。ドッと疲れが来た。私達3人は一気にその場に座り込む。

「強すぎですよ……トントンさん」

「あーあ、2人でも勝てへんのかぁ」

「勘って……怖すぎ」

しばらくして息が整うと、教授は私に手を差し伸べてくれた。手を借りて立ち上がって、礼を言う。

「Aさん。帰れますよ」

「えっ、でも」

「あの後、電話は壊しました。逆探知される可能性は低いです。それに、今はあの家に閉じこもっていた方がいいでしょう」

「そう、ですね。分かりました」

チーノ君と教授と。2人で車に乗って教授の家に戻る。


まさか仲間を撃つ日が来るとは思わなかった。今でもあの感覚が鮮明に目に焼き付けられている。

「……そういえば教授。銃を扱ったこと、あるんですね」

「……ちょっと昔はやんちゃをしてまして。グルッペンさんと色々やったものです。彼から何度か軍に来るよう誘われていたのですが、私は戦争屋ではありませんし、こうやって平和に暮らしている方が性に合うので、断ってました」

ほのぼの話す教授が昔はやんちゃだったなんて。想像つかない。家に到着し、アイビーが覆い尽くす味のある駐車場に車を停める。


教授が家の扉に手をかけた時、首を傾げた。

「ショッピ君、不用心ですね。鍵を開けっ放しにするなんて」

ガチャっと扉を開けると、私たちの目に衝撃的な光景が飛び込んでくる。

「ショッピ君…!!!!」

血まみれで倒れるショッピ君。まだ少し息はあるようで、苦しそうにこちらを見る。駆け寄って抱き起こすと、ショッピ君は小さく首を振る。

「Aさ……ん、に、げて」

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硝子玉(プロフ) - 最後まで不穏ですね、彼らが妥協するまで眉を顰めて読んでいました。面白かったです。後輩2人が実は同じことしてた、なんて考えましたが流石にそんなことありませんでした。誰の子とも言える書き方が素晴らしいと思います。命令内容が子供を守れとかだと面白いですね。 (8月3日 17時) (レス) @page41 id: d2ec184a3c (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - めっちゃ良かった!!emさんとsypくんとciくんが…!カッコ良すぎて萌え死にする…!そしてなんとなくgrさんだと思います。他の作品も頑張ってください! (2022年12月27日 9時) (レス) @page38 id: bb7bb5003e (このIDを非表示/違反報告)
かきくけの(プロフ) - 個人的にはsnが味方っぽいけど本当は幹部達と同じことしてて、罪悪感から助けてだけど子供がsnの子だったから顔が合わせられなかったとかだったら熱いな。でもたぶんgrさんの子な気がする (2022年10月17日 23時) (レス) id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるぽろう - 完結おめでとうございます…そしてありがとうございます…!!!序盤が凄く暗かったからこそ、最後のあたたかい終わり方が心に沁みました。てかemさんとshpci後輩かっこよすぎですね一生愛せます!!!今回も素晴らしすぎる作品をありがとうございました!!! (2022年10月15日 13時) (レス) @page38 id: 8509ca10df (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ*(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!本当に物凄く心を掻き乱された作品でした。とてつもなく良い意味で。素晴らしい作品をありがとうございました!! (2022年10月15日 13時) (レス) id: ddb5b2a27a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年9月26日 18時

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