20 ページ20
怒るチーノ君。しばらく平和な時間を過ごしていると、固定電話がなった。念の為、チーノ君が全体に聞こえるようにスピーカーにしてくれた。
『もしもし。チーノ君、ショッピ君、Aさん。私の大学に軍の調査が入りました。しばらく戻れないと思いますし、今私がその家に帰るのは危険です。数日家を空けることをお伝えしておきます。……っ』
『エミさん?誰と電話してるん?』
『と、トントンさん。明日行く予定だった学校にキャンセルの電話を入れてました。で、お探しの物は見つかりました?』
『探し者なぁ。見つからへんわ。その電話の先に、居るかもしれへんけど』
そこで通話は切れた。トントンの察しの良さに、皆は沈黙する。
「逆探知かけられるかも」
「そ、そんなの……警察でもないのに」
「我々国の情報管理部の部長を務めるロボロは元々ハッカーあがりで、他国のセキュリティを簡単に突破できる男だよ」
彼に幾度となくこの国は支えられていた。彼のあの力が今では脅威となって私を襲う。
「Aさん。念の為、どこか別の場所行きましょう。荷物まとめて下さい」
「……分かった。少し遠いホテルに移動しようか。ただ」
「ええ、勿論分かってます。俺が残ります」
ショッピ君はピコちゃんを撫でながら言う。
「チーノ。Aさんの事、頼んだ」
「うん。Aさん、行きましょう。ショッピもAさんのいた痕跡を消しといてな」
「ああ」
私は大急ぎで荷物をまとめて車に詰め込んで、チーノ君と共に教授の家を離れる。この逃亡生活、終わりが見えない。終わりが来るという事は、私が捕まるか、彼らが諦めるかのどちらか。でも、絶対彼らは諦めない。
消耗戦は彼らの十八番。そして、電撃戦はグルッペンの愛する戦法。短期間で決着をつけに来るに決まっている。
「勝てますかね、」
「チーノ君。私は我々国軍の元参謀総長だよ?彼らを駒として動かしていたのはこの私。作戦で負けていたら、参謀総長の名が落ちる」
「頼もしい〜」
「っへへ」
チーノ君は我々国の主要都市から離れた海辺の旅館に連れて来てくれた。見つかるまでに時間がかかりそうな場所だ。海風が心地いい。
「俺の可愛いA、ここに居ったんやな」
「ッ!!!!!!トントン……!!」
嘘でしょ。まさか。有り得ない。体にGPSでも仕込まれているのか。
「なんで……」
「勘やで。豚さんの野生の勘。Aを愛しとるから、当たったわァ」
「俺が相手するんで。逃げて、Aさん」
1129人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
硝子玉(プロフ) - 最後まで不穏ですね、彼らが妥協するまで眉を顰めて読んでいました。面白かったです。後輩2人が実は同じことしてた、なんて考えましたが流石にそんなことありませんでした。誰の子とも言える書き方が素晴らしいと思います。命令内容が子供を守れとかだと面白いですね。 (8月3日 17時) (レス) @page41 id: d2ec184a3c (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - めっちゃ良かった!!emさんとsypくんとciくんが…!カッコ良すぎて萌え死にする…!そしてなんとなくgrさんだと思います。他の作品も頑張ってください! (2022年12月27日 9時) (レス) @page38 id: bb7bb5003e (このIDを非表示/違反報告)
かきくけの(プロフ) - 個人的にはsnが味方っぽいけど本当は幹部達と同じことしてて、罪悪感から助けてだけど子供がsnの子だったから顔が合わせられなかったとかだったら熱いな。でもたぶんgrさんの子な気がする (2022年10月17日 23時) (レス) id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるぽろう - 完結おめでとうございます…そしてありがとうございます…!!!序盤が凄く暗かったからこそ、最後のあたたかい終わり方が心に沁みました。てかemさんとshpci後輩かっこよすぎですね一生愛せます!!!今回も素晴らしすぎる作品をありがとうございました!!! (2022年10月15日 13時) (レス) @page38 id: 8509ca10df (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ*(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!本当に物凄く心を掻き乱された作品でした。とてつもなく良い意味で。素晴らしい作品をありがとうございました!! (2022年10月15日 13時) (レス) id: ddb5b2a27a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年9月26日 18時