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「A？そんな大荷物持ってどこ行くん？着いていこか？」
「……ゾム、」
心配そうに私を見つめるゾム。私の子の父親はコイツかもしれないし、違うかもしれない。それでも可能性がある以上は言えない。
「出張。すぐ戻るよ。じゃあね、ゾム」
「はよ帰ってきてや？Aが居らんと寂しいねん」
ギュッと抱き締められる。いつも通りのスキンシップなのに。おぞましくて仕方が無い。
「じゃ、じゃあね」
ゾムの手を振りほどこうとすると、ガブッと首筋を噛まれる。彼の鋭い歯が食い込んで痛い。ドクドクと血の流れる感覚がする。
「いっ、た……何？」
「Aが他の男に取られんように。俺の物っちゅう印つけといてん。じゃ、また後で」
歯に私の血をつけたままニヤッと笑うゾム。私は作り笑いを彼に返す。
「またね」
彼が背を向けた瞬間、一気に走り出す。山を駆け下りて、幹部だとバレないように顔を隠して街中を走る。雑踏を掻き分けて、ようやく辿り着いたのは、とある大学。その門扉を飛び越え、インターフォンを鳴らす。
『え、エーミール教授、いらっしゃいますか！』
『エーミールは私です。その声はAさん？……只事じゃなさそうですね。チーノ君、迎えに行ってあげて』
『え〜、俺？』
『いいから』
そんな会話聞こえてきたあと、裏門の扉が開いた。出てきたのは、背の高い、水色の髪と瓶底メガネが特徴的な好青年。
「どもども。チーノと申します」
「こんにちは。私、Aって言います」
挨拶はそこそこに。彼は私を教授の部屋まで案内してくれた。私は教授の元教え子。今1番信用できるのは、教授しかいない。
「教授！お久しぶりです」
部屋には、教授とメガネ君の他に、ヘルメットを被った死んだ魚の目の青年がもう1人。
「Aさん。お久しぶりですね。貴方の活躍は度々耳にしますよ。教え子が国のために良い働きをしていて大変誇らしいです。……さて、どうしました？」
「……実は」
彼に先程の話を赤裸々に語ると、目を見開いたまま固まってしまった。メガネ君もヘルメット君も眉根を寄せて気ぃ悪いわ。と呟いている。
「つまり、貴方は父親の分からない子を妊娠していると。そして彼らは危険だから私の元へ逃げてきた」
「そうです。……迷惑なのは重々承知しています。でも、貴方しか頼れないんです。せめて子が産まれるまで、匿ってくれませんか」
「勿論です」
「Aさん、やっけ。俺らも協力しますよ」
ああ、いい子達だ。
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硝子玉(プロフ) - 最後まで不穏ですね、彼らが妥協するまで眉を顰めて読んでいました。面白かったです。後輩2人が実は同じことしてた、なんて考えましたが流石にそんなことありませんでした。誰の子とも言える書き方が素晴らしいと思います。命令内容が子供を守れとかだと面白いですね。 (8月3日 17時) (
レス) @page41 id: d2ec184a3c (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - めっちゃ良かった！！emさんとsypくんとciくんが…！カッコ良すぎて萌え死にする…！そしてなんとなくgrさんだと思います。他の作品も頑張ってください！ (2022年12月27日 9時) (レス) @page38 id: bb7bb5003e (このIDを非表示/違反報告)
かきくけの(プロフ) - 個人的にはsnが味方っぽいけど本当は幹部達と同じことしてて、罪悪感から助けてだけど子供がsnの子だったから顔が合わせられなかったとかだったら熱いな。でもたぶんgrさんの子な気がする (2022年10月17日 23時) (レス) id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるぽろう - 完結おめでとうございます…そしてありがとうございます…！！！序盤が凄く暗かったからこそ、最後のあたたかい終わり方が心に沁みました。てかemさんとshpci後輩かっこよすぎですね一生愛せます！！！今回も素晴らしすぎる作品をありがとうございました！！！ (2022年10月15日 13時) (レス) @page38 id: 8509ca10df (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ*(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！！本当に物凄く心を掻き乱された作品でした。とてつもなく良い意味で。素晴らしい作品をありがとうございました！！ (2022年10月15日 13時) (レス) id: ddb5b2a27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年9月26日 18時
