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「酷いことしますね。……あなたがたの国の言葉はわかりませんが、罵倒されたことは理解しました。とりあえず、やられっぱなしは性にあいませんので」
「何言ってんだ、お前」
エーミールは、胸ポケットから小型のナイフを出して、刺青男の目に向かって投げた。突然の事で、何も出来なかった刺青男。 見事目に刺さったナイフ。彼の怒鳴り声は、やがて悲鳴に変わった。
「エーミール殿。あなた、非戦闘員では?」
「仲間同士の戦いに、よく巻き込まれるので。今のも、ゾムさんから教わりました。要領悪いので、自分のものにするのには時間かかりましたけど」
「貴様……よくも……ぐあっ、」
よろよろと立ち上がった刺青にトドメをさしたのは、店の2階窓から落ちてきたゾムだった。
「いや、手こずったわ。あれ、ボスどこいったん?さっき外行ったの見たんやけどなぁ」
「あなたの下ですね」
「うわ、ホンマや」
「っはは、気づいてへんのかい。……帰りましょう」
エーミールが言うと、Aとゾムも頷いた。こうして、V国調査は一日で終わった。ホテルに戻った3人は、グルッペンに報告を済ませて、明日朝早くの出発に備えて、床についた。
翌朝、空港へ行った3人は、幹部たちへの土産物を買うために、ちょっとした土産物屋に寄った。
「これでええんちゃう?V国饅頭」
「そうですね」
Aは、遠くでその様子を眺めながら、“ある人”に電話をかけていた。
「ええ、お願いします。トントン殿には話を通してあります。……ええ、あなたは、ただの宅配業者として、やってくれればいいです。……はい、では」
電話を切って、顔を上げると、ゾムとエーミールが大量の荷物を持って立っていた。
「沢山買いましたね」
「楽しかったな」
「ええ、スリルある国でした」
2人の会話を聞いていたAは、フッとまつ毛を伏せる。
やはり、分からない。楽しいという感情が。
色々あって、大変だったが、楽しくは無かったし、怖いとも思わなかった。
飛行機に数時間乗って、我々国に帰ってきた3人は、土産物の量を見て、トントンから説教を食らうのだった。
「なんでこんなに買ったん?……もしかして、今回の旅費……余った分全部土産物につぎ込んだな!?」
「だって…」
「面白いものいっぱいあったんですもん」
「はぁ……!!Aも!!なんで止めへんねん」
「すみません、通話していたもので、見てませんでした」
「どいつもこいつも」
「隈ひどいで」
「お前らのせいや」
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はちみつ(プロフ) - 1章お疲れ様でした!2章も頑張ってください! (2021年8月11日 17時) (レス) id: 3af09653e7 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - ひよこの子さん!まずは1章お疲れ様でした(; ;)やっぱり前作といい今作といい伏線かな...?と思われる描写がいくつかあり2章、3章がめっちゃ楽しみになりました!毎日ほんとに大量更新ありがとうございます...毎日の楽しみです...!体調に気をつけて頑張ってください! (2021年8月11日 1時) (レス) id: d2abe96452 (このIDを非表示/違反報告)
狗 - ひよこの子さん、こんにちは。普段は作品にコメントとかしないのですが、面白すぎてしてしまいました。ひよこの子さんの作品は、伏線の回収などが丁寧で、見ていてとても楽しいです。お体に気をつけて更新頑張ってください。応援してます!長文すみません! (2021年8月9日 20時) (レス) id: 3a2d3af60d (このIDを非表示/違反報告)
黄山まる(プロフ) - めぇぇぇぇっちゃゃゃゃ面白いです!!!!!!好きです!作ってくださりありがとうございます!!! (2021年8月9日 16時) (レス) id: ecd777805d (このIDを非表示/違反報告)
黒月 - どこがで見たことのある作者様や〜と思ったらほとんどの作品読ませていただいてました今の今まで気づかず申し訳ありません()どの作品も大好きですスッゴく面白いです作ってくれてありがとうございます!!! (2021年8月8日 23時) (レス) id: d980d1e7aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年8月4日 19時