56話 ページ25
何かにつかまろうと伸ばした手は静かに空を切り、体が後ろへと傾いていく。
「…うわぁっ、！」
何故かスローモーションの様に進む感じに情けなくも漏れた声と共に痛みに耐えるべくきつく目を閉じた。
盛大に大きな音を立てて散らばった工具の音が聞こえて、もうそろそろ私も地面に当たるだろうと体を強ばらせる。
『…ちょっと、何急に、』
いつまで経っても痛みが何処にも感じなく、更にいい匂いのする"何か"にふわりと抱き留められた。
『ちょっと、聞こえてるの？聞こえてるなら目開けてよ』
「…ぁっ、すいませ…ん…っ」
『急に上から落ちてくるとか、君何考えてんの？お陰で眼鏡もどっかいったし』
「すいません…」
『謝ってないで重いんだから早くどけてよね』
「は、はい」
いい匂いのする"何か"の正体は、金髪の高身長な少年。真っ黒な長袖ジャージを羽織りフラフラと私のせいで落とした眼鏡を探している彼はきっと烏野高校の人だろう。
『…あんたのせいで落としたんだから、少しぐらい探すとかしないの？』
「…ぇ、あ、はい。探します…」
『はぁ…何か、顔すら見えてないけど使えないって感じの人だね。もういいよ、自分で探すから。』
"使えない人"。1番言われたくなかったワードをまさかここで言われるなんて。
助けてくれたのはありがたいけど、そこまで言わなくたっていいじゃないか。と言いたい衝動に駆られながら口を噛み締めて黙る。
『そこも邪魔。ってか、君何部？ここ今日はバレー部専用の体育館のはずだけど。バレー部じゃない人は入らないでよね』
「いや、私バレー部のマネージャーで…」
『え、君がマネージャー？…嘘つくのやめなよ。もし本当にマネージャーだったら僕、君のこと見てるはずだし、こんなに鈍臭く無いでしょ』
「…あ、でも私はマネージャーとして…」
ピリピリとする空気が更に強くなって私に伝わる。既に涙目な私は震える声を押し殺しながら小さい声で答えた。
『いい加減嘘つくのやめてよ。もしかして追っかけの人？そういうのウザイんだよね。早く消えてよ』
「追っかけなんかじゃないで…す、」
有無を言わさぬ声のトーンに思わずポロリと涙が零れた。そんな時だった。
『ちょっとツッキー？それは言い過ぎだろ』
『ツッキー！言い方強すぎ！』
『はい、月島。これでしょ？眼鏡。Aも大丈夫？怪我は？』
突如として現れた"ヒーロー達"に安心して涙が溢れた。
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小豆(プロフ) - 夢花 ゆめいろ星（スター）の夢花さん» コメントありがとうございます。その通りです！すぐに訂正させていただきます！ご感想もありがとうございます(^^)お姉さんと言っていただけてすごく嬉しいです！ (2018年7月7日 14時) (
レス) id: e304448554 (このIDを非表示/違反報告)
夢花 ゆめいろ星（スター）の夢花(プロフ) - あの、63話で「先週のサポート」と書かれていますが、「選手のサポート」なのでは…？ 返信ありがとうございます！まあ、あのシーンではなっちゃいますよね〜wその後のツッキー可愛すぎました← うっ…あずさんめっちゃお姉ちゃん( ；∀；)←一人っ子だから嬉しい奴(( (2018年7月3日 23時) (レス) id: f2643ccfd4 (このIDを非表示/違反報告)
小豆(プロフ) - 夢花 ゆめいろ星（スター）の夢花さん» コメントありがとうございます(^^)私自身書きながらすごく主人公ちゃんに申し訳なくなってしまいました…（笑）自分が後悔しないようにでもやりたいように決めるのが1番だと思いますよ。どんな選択であれ充実した高校生活になるよう願っております(^^) (2018年6月18日 16時) (レス) id: e304448554 (このIDを非表示/違反報告)
小豆(プロフ) - マネジーさん» コメントありがとうございます！お返事遅くなってしまい申し訳ございません(´･ ･`)そう言っていただけてすごく嬉しいです！これからも応援よろしくお願い致します(^^) (2018年6月18日 16時) (レス) id: e304448554 (このIDを非表示/違反報告)
夢花 ゆめいろ星（スター）の夢花(プロフ) - うぅ…ツッキー言い過ぎ…ぼくまで泣けて来ちゃったじゃんか（ ; ; ） 主人公ちゃん頑張れ！！……高校入ったら演劇部入るかマネあったらマネやるか、迷うな…。支える側の人間にもなってみたいし…。 (2018年6月18日 0時) (レス) id: f2643ccfd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆 | 作成日時：2018年3月26日 18時
