愛されマネージャー【HQ】 #2

52話 ページ21

及川side



『ちょ、仁花ちゃん水かけないで！』



｢先にかけてきたのはA先輩ですよ！｣



はい問題です。なんで別の風呂なのにこんなにもマネちゃん達の声が聞こえてるでしょうか。



…はーい時間切れです。正解は…大きな仕切りの向こう側がマネージャーたちが入っている露天風呂だからでーす。


という事で先程から女子のキャッキャと楽しそうに入る声を聞きながら何故かほぼ全員が露天風呂に浸かっているという非常にカオスな状態。



『この仕切りの向こうに天国がっ…龍！俺今なら死んでもいいかもしれない』


『ノヤっさん！ここで死んだら天使達の姿が拝めないぜ！もう少し頑張ろうぜ！！』



先程から言わずと理由もわかる気がするが静かな状況に自然と隣の声が耳に入ってしまう。



『わ〜、やっぱりAちゃんスタイルいいね〜』



｢そんな事ないですよ。皆の方がスタイル抜群って感じがします｣



『だってまず肌がモチモチだし！ちょっと触らせて！』


｢ふはっ、どうぞ好きにお触り下さい！｣



『…モチモチだ。仁花ちゃんも、もち肌だよね』



『清水先輩の方がすべすべですよ！！私なんかガサガサで…』



女子特有の流れなのか感想を言い合っている所から始まり、何故か恋バナへと発展していくお話。


『…じゃあ仁花ちゃんは好きな人とかいないの？』



『いないです！私なんかが好きになってもご迷惑になるだけなので…！』



｢そんな事ないよ！自信もって！｣



『A先輩はどうなんですか？好きな人とか！』


『それ気になった〜。めっちゃ可愛いもんね〜』


｢私ですか？…居ないですかね｣



『今、間があったよ。居るんでしょ？』



｢ 潔子先輩までそう言いますか！本当に居ないですって！｣



『じゃあ、好きなタイプ！』



｢ん、好きなタイプか…｣



恋バナを隠れて聞いているのは俺だけじゃないみたいで静けさの中、皆が耳をすましている。



『…っていい所だけどあとは夜にしよっか！Aも顔まっかっかだし！』



｢バレました？若干のぼせました…仁花ちゃん腕貸してもらってもいい？｣



『勿論です』



｢ありがとう｣




パタリと扉が閉まる音がする。



『うわ〜やっぱ簡単には聞けねぇか！』



『恋バナ聞くの楽しいな！』



音駒と梟谷の主将が話し始めると周りも少しずつ話し始めた。



しかしそこに響く女子の声。



『やっぱり聞いてたんだ〜』



俺を含め皆の背筋が伸びるのがわかった。

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