異能力と文豪の居る世界に迷い込む 来復の章

あの日の事を思い出して ページ28

Aside

思えば、あの日。
零さんと初めて逢った日から私の運命は大きく変わっていたのかもしれません。

座標を間違えられて真っ逆さまで落ちた時に助けてくれたのはヴィントス。貴女でした。
ラブクラフト戦で戦ってる汚濁状態の中也さんを見てクラウィスが見るようになって、
国木田さんのお陰でゲネシスが見えるようになって、

私の異能生命体は…全部、皆さんのお蔭で見えるようになったんだ。そうか…私、見えないとなんにも出来ない子なんですね。

桜井教授が私の事を白い本と例えていた理由がようやく分かった気がしました。

私は周りの人のお蔭で私でいられた。

見えなくなってもいいって思っていたのは間違いでした。本当は誰よりも世界を見ていたい。変わりゆく世界を、綺麗で愚かで儚いこの世界を。

母さんから下賜された異能とは云え私を認めてくれたこの世界の概念。

あぁ、手術が成功したら皆さんの顔をみたい。
笑った皆さんの顔を、喜んでいる皆さんの顔を、



そのためには………私も変わらなくてはなりませんね。

確かみすゞさんがくれたループタイの石はムーンストーンでしたよね。

ムーンストーンの石言葉は、




復活と再生



新たな私になる為に


私は昔の私を休ませよう

もう大丈夫ですよ。
今まで頑張ってくれてありがとう。

ゆっくり休んであとは私(新しい私)が
君(昔を私)を守っていくから。

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