ドS旦那 ページ8
『あぁ…帰りたくない』
「旦那さん心配するよ〜(笑)」
休憩スペースで同級生の佐藤にお茶を渡されたA。はぁ〜と疲れ切ったような溜息をついて貰ったお茶を飲む。
「エー良いじゃんラブラブで」
先日,一緒に買い物にいった友人は呑気に笑ってAの話を聞いている。
『奥さんが帰って早々,壁ドンしてくる旦那さん。
この世の何処に居るんですか!!』
「1度や2度くらいは許してあげたら?」
『…毎日ですよ?』
「わぁお!思ってたよりドS〜。」
今朝も学校に行く際に頬に
「相当惚れ込んでるね〜」
『真逆!政略結婚ですよ?』
佐藤がブンブンと首を横に振る。
「真逆…本気じゃ無いと思ってるの?」
『はい』
「お〜〜〜ば〜〜〜か〜〜〜!!!」
Aの発言を聞いた途端。机に突っ伏してしまう佐藤。「旦那さん,苦労してるだろうなー」と心の中で条野に同情した。
するともう一人の生徒が休憩スペースにやってきた。
「Aちゃん。イケメン旦那が迎えに来てる」
『はぁ!?』
「私も行くわ。旦那の顔を拝みに!!」
──────────────────
「Aさん。迎えに来ましたよ」
『さ…採菊さ…ん』
周りに居る専門学生が「お似合い〜」と云いながら通り過ぎていく。ニコッと笑って「ありがとうございます」と頭を下げる条野。
「おや,そちらのお方は?」
『えっと…友人の』
「佐藤です初めまして」
「Aさんの…よろしくお願いします」
爽やかに微笑んだ条野だったが,佐藤は何かと鋭いタイプの人間だ。Aの話を聞いていて何となく予想はついていたが今,直接会って確信した。
「(ドSどころか腹黒いなこの人。
オマケに独占欲強め…ツンデレでもあるな)」
佐藤はAの方を見ると肩をポンポンと叩いてニヤッと笑うと小声で伝えた。
「面白い旦那さんだね」
『面白い?私にとっては…面倒くs……』
「誰が面倒くさいんですか?」
条野に手で口を塞がれたA。「帰ったら教えて下さいね」とエッジの効いた笑みを浮かべてAをお姫様抱っこする。
『降ろして下さ〜〜い!!』
「嫌です。これはお仕置きです」
笑いながら手を振ってA達を見送る佐藤。
でも,A達が見えなくなるとスンッと真顔になって冷や汗をかく。
「前言撤回。面白いじゃなくて
ドS旦那で確定だな…これは。」
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作者名:御影 | 作成日時:2022年12月2日 13時