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優しい笑顔に、
ふわっと溶かされたような感覚になって
その後自覚した嬉しさと幸せに
もう答えは出ているな、と目を伏せる。
そして。
「…はい」
ぎゅっと彼の手を握り返して、頷いた。
ほっとしたのか、花が開くように
綻んだ表情を見せると
光成くんは私の腕を優しく引く。
ぽん、と彼の腕の中に収まると
私とは違う鼓動が聞こえてきた。
光成くんも、私でドキドキしてくれてる。
それが分かるだけで、嬉しい。
「俺、本気だからね」
「え…？」
「親が決めたから、とかじゃなくて本気で
Aちゃんと一緒にいたい」
「っ、うん。私も…だよ」
私も、なんて言葉はずるいかもしれないけど
今はこれ以外にちゃんと伝えられる言葉が
思いつきそうにない。
うまく伝わってるかな、と
光成くんの顔を見て確認したくて
抱きしめられたまま顔を上げると
彼もこっちを向いていたみたいで目が合う。
お互い目を丸くして、数秒。
なんとなく流れた雰囲気が甘くなって
お互いの顔の距離が近づいていく。
目を閉じて受け入れようとするけど
緊張してつい、下唇を噛んだ。
すると、彼はふいっと私から顔を背ける。
「ご、めん…早まりそうだから、離れる」
「へ…」
顔を赤く染めた彼が、私から手を離す。
反射的にそれを掴むけど
そこからどうしていいか分からなくて、固まった。
「…Aちゃん」
「え、と…」
「可愛いこと、しないで」
ぽんぽん、と宥めるように
私の頭をなでてくれるけど、そうじゃない。
私は、ただ。
「…いい、よ」
「っ、そういうのは」
「だって、好き…な人だから」
今、今日一番くらいに顔赤いんだろうな。
触れなくても感じる自分の熱に
さらに恥ずかしくなる。
少し視界がぼやけた状態で彼を見ると
さっきの私と同じように下唇を噛んで
離れた距離を一気に埋めた。
柔らかく触れた熱に、目を閉じる。
「…湧と青木には、内緒ね」
唇が離れると、おでこ同士がこつん、とくっつく。
光成くんは私の唇に人差し指を押し当てると
きゅっと少しいたずらっぽく笑った。
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作者名：むう
| 作成日時：2021年2月23日 21時
