運命よりも、ずっと。 (ページ11)

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「あ、そうだ…ごめん、こんなタイミングで」

「…私に？」

「うん。ほんとは、今日着けてって

言おうと思ってたんだけど」

差し出された包みを受け取って

開くと、中にはかんざしが入っていた。

光成くんは、少し照れくさそう。

嬉しくて、ぎゅっと握って胸の前に当てると

彼も柔らかくはにかんだ。

「ありがとう、嬉しい」

「また、なんかあったら使って」

「うん！」

大きく頷いて、早速髪に着けてみようかなと

手を伸ばしていると、横からそれは奪われた。

まとめてある部分にそれを挿すと

彼は飾りの部分を指先で触れる。

「どう…かな」

「うん。思った通り、似合ってる」

「ふふ、ありがとう」

「どういたしまして」

なんとなくらしくなくなった雰囲気を

少しだけ砕くように彼が声を出して小さく笑う。

貰ったかんざしは、

なんだかしまっておくのが勿体なくて

その日以降ポーチに入れて持ち歩くようになった。

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