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薮が、中々返事をしてくれない。
遠くの空からヘリコプターの近づく音が聞こえてきて、
薮の声が聞こえなくなるような気がして、また顔を近づけた。
言葉の続きを伝えようと、顔を上げた薮。
顔の距離が、思いの外近くなっていた。
「だって、本命以外からもらったらその子がかわいそうなんでしょ?」
うん…。そうだよ。
そうなんだけど…。
だからってなんで彼女と別れるの?
それ、俺からチョコレートもらうことと関係ある??
「だから、…ひかるのちょうーだい。」
不思議そうに薮を見つめる俺を見て、
悲しげにおねだりをする、薮の口元。
そんなに、俺の作ったチョコ、欲しかったの?
「ごめ…。全部、一人で食べちゃった。」
そんな欲しかったんなら、もっと早く言ってよ。
俺、全部、食べちゃった。紙袋の中は、もう空っぽなんだ。
申し訳なくなって、シュンと目線を落とせば、薮がクスリと笑う声がした。
「ほんとだ。口の周り、チョコまみれ。」
口元についていたチョコを、薮が親指でぬぐってくれて、
地面のコンクリートに落としていた目線を薮に合わせれば、
悲しそうに笑う薮の顔がどんどん近づいてきて。
そして…。
目も閉じないで、お互いのまつ毛の触れ合う距離で見つめ合っていた。
唇には、少しカサついた柔らかな感触。
「お前、どんだけ、食ったんだよ。まじ、甘い。」
今度は嬉しそうに笑って、そして、また。
チュッと音を立てながら、何度も何度も俺の口のなかを味わう薮に、俺は反応できなくて。
手に持っていた、紙袋を落としてしまって、
拾わなきゃって、そう思ったのに。
あったかい薮の舌が入り込んで、
甘いだらけの自分の口の中に、苦さが入ってきたことで、
あぁ、薮の持っていたカップの中身はコーヒーだったんだぁ。
なんて。
困ったことにそんなどうでもいいことを考えてしまって、
そんなことを考えている間に、
近づいてきたヘリコプターの音と一緒に、空に舞い上がって、
ソレは遠くへと飛んで行ってしまった。
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「口移しのチョコレート」 AKB48(team B)
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みるみるみるきー(プロフ) - なんか、いい関係だわねー。男同士…うんうん。いやしの笑顔のタカキもよいです。 (2019年8月19日 11時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - ゆみさん» いつも読んでくださりありがとうございますm(_ _)m先ほど、メッセージの方に送付させていただきました。届いていない場合はお手数ですがこちらでお知らせいただければと思います☆よろしくお願いいたします* (2019年8月19日 1時) (レス) id: 5a12b48840 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ(プロフ) - すみません(>_<)パスワードではなく、パスヒントを教えて下さいですね!また、ひびた。さんのプロフィール欄に気付かず『ボード』にもメッセージを残してしまいました。すみません(>_<)よろしくお願いいたします。 (2019年8月12日 10時) (レス) id: 58cd24687a (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ(プロフ) - ×-dame完結おめでとうございます。楽しく読ませていただきました!過去作品『たんぺん歌集』が大好きで再読したいのでパスワードを教えて頂けないでしょうか?Twitterをしていないのでよろしくお願いいたします。楽しく (2019年8月12日 10時) (レス) id: 58cd24687a (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - こはるさん» コメントありがとうございますm(_ _)mメッセージにて、パスヒント送付いたしました☆前に送付したものと同じです(^ ^)メッセージが万が一見れない場合は、ご連絡ください☆ (2019年8月1日 0時) (レス) id: 5a12b48840 (このIDを非表示/違反報告)
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