× ページ5
×
「…へ？？伊野尾先輩！？」
嬉しそうに、さっきとは違い高めの声を出すさくら。
俺への対応とはえらい違いだな。
「伊野尾先輩いるなら言ってよ！！」
ひそひそ声の怒鳴り声という器用な声で、俺に抗議する。
いや…言いたくても、
言えるような格好や状況じゃさっきまでなかったもんで…。
伊野尾くんはにっこりとこちらに微笑んだ後、一旦、顔が引っ込んでから、
シャツのボタンをしっかりと締めた状態でカバンを持って降りてきた。
「こんにちは。」
貴公子のような笑顔で、俺の幼なじみに会釈する。
その美しい微笑みに動けずにいる俺の幼なじみ。
「伊野尾先輩、こんにちは！！」
「さくらちゃんだっけ？お使い？偉いね。」
完璧なまでの、後輩キラースマイル。
さっきまでの弱々しい潤んだ瞳は微塵も感じなかった。
「高木、俺、用事思い出したから帰るな。」
「えっ！？もう！？」
今からがいいところだったのに…。
完璧にさくらに邪魔された。ちっ!!
苦々しい顔でさくらの方を見れば、
伊野尾君をうっとりとした顔で見つめていた。
「さくらちゃんも、もう帰んの？」
「あ、はい！！長居は無用なんで！！」
なんだこいつ…いつもはダラダラいるくせに…。
「んじゃ、途中まで一緒に帰ろうか。」
「いいんですか！？」
「ってか、こいつ、隣の家だよ。」
「ゆうちゃん、うるさい！！伊野尾先輩と帰れるなんて嬉しいです！！」
ニコニコしながら、伊野尾君とさくらは会話を進める。
苦々しく二人を見つめる俺のことなんて、ほったらかしだ。
「高木、また明日、学校でね。」
「ゆうちゃん、バイバーイ。」
ーバタン。
あっという間に締められたドア。
さっきまで、伊野尾君との甘い時間が流れていたはずなのに。
なんなんだ…まるで嵐だな。
あぁ…。伊野尾君との甘いひととき、お預けかぁ…。
この時は、特に気にもとめていなかった。
急に俺のことを求めたのも、
急にその気がなくなったのも。
いつもの伊野尾君のいつもの気まぐれ。
ただ、それだけのこと。
いつもの日常のはずだった。
何も気づかずに、ただ、伊野尾君に触れられなかったことだけを悔やむ馬鹿な俺は
歪ながらも均等を保っていた俺たちの関係がこっから崩れていくなんて、
思ってもいなかったんだ。
××××××
×
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 945人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひびた。(プロフ) - みほさん» だらだらと書いていたにも関わらず、優しいお言葉ありがとうございます(T ^ T)嬉しい限りです！！これからも、そのようなお言葉がいただけるのであれば低速ながらも書いていこうと思えました！！ありがとうございます！！ (2019年7月7日 0時) (
レス) id: 5a12b48840 (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - Yokoさん» ながながとしたお話でしたが、着地はなんとかできました！！夏休み中は解禁されるかどうかは未定…続編もぼちぼちで、進めていきますので、よければまた遊びにきてください（＾∇＾） (2019年7月7日 0時) (レス) id: 5a12b48840 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - すごく素敵なお話でした。2人の思いが通じあって良かったです。ありがとうございます。最近、ゆといのも好きなのでたんぺん歌集の方も時々読み返させていただいています。ひびた。さんのお話大好きです。 (2019年6月26日 9時) (レス) id: e343fdfaf1 (このIDを非表示/違反報告)
Yoko(プロフ) - わあああ！涙！なんて爽やかなENDでしょう！よかったね�睫擇�ん！始まりはちょっと間違ってたかもしれないけど、ちゃんと青春真っ盛りの爽やかカップルに着地ですね！明日からの夏休み中に禁欲は解除されるのかな？ワクワク！ (2019年6月23日 23時) (レス) id: 1ec0dcf065 (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - Yokoさん» 伊野尾さんちにたどり着くのに、どんだけかかっとんねん！！聖闘士星矢か！！っというツッコミを自分でしてました。お待たせしておりますm(_ _)m (2019年6月2日 22時) (レス) id: 5a12b48840 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
