snow snow snow 2（ × Snow Man ）

＊ ページ10

＊

それでも、そうしなかったのは、俺の落ち度だ。


うっかり本気で好きになってしまったのだ、コージを。


いや、体の関係を持つ前から、本当は好きだったのかもしれない。
だって、関係の始まりだって、断ろうと思えばできたはずだ。
『やめて』と言えば、それで始まりさえしなかったはずなのに。




それを認めるには勇気がいった。

年下だし。メンバーだし。男だし。



でも、ある時、もう認めちゃったわけよ。自分の中で。
抑えきれなくなっちゃって。好きだなぁって。


そうしたらさ。余計、この関係を崩すことができなくなった。


重いと思われたくなかったし、うざいとも思われたくない。
そこまでならまだいい。
「いっぱいいるうちの一人です」なんていうセリフまで言われるかもしれない。

男の俺が、男のコージにいつの間にか体を好き勝手された挙句、
こっちはもう、コージのことをベタ惚れになってしまい、その上、こんなこと言われたら、
流石の俺でも立ち直れない。

だから、「曖昧」でもなんでもいい。
そう思って、この関係をずるずると続けたのだ。





でも、ダテさんはないは・・・。
俺、勝てる気しねーもん。


思わず足を止めて項垂れる。

なんでこんなに好きになってしまったのだろうと。

項垂れすぎて、首元がスースーする。
やっぱマフラー出そうかな。


あ〜。こんな日は、早く帰って、なんかあったかいもんでも食べよう。
体の中から、あったかくしたら、少しは心もあったかくなるだろ。

ポカポカしてくるような、ほっこりするような食べ物。
おでん？シチュー？鍋かな？？


あ・・・。そういや、前に、コージがローツキャベツ作ってたなぁ。
一人で食べるにしてはロールキャベツっておかしいよな。

誰かと一緒に食べたんだろうなぁ。



俺じゃない誰かと・・・。

きっと笑顔で・・・。



あーやべ、泣きそう。



天を仰ぐと入り込んできたのは夜のネオン。
チカチカと目にしみた。

涙がこぼれそうになっているのは、きっとそのせい。




「あぁ・・・ロールキャベツ食べたい。」

誰かに言うわけでもなく、
まっ暗いのに、それでいて星ひとつ見えない夜空に白い息を吐くと同時に呟いた。
行き交う人の多さで、俺の声なんて絶対周りに聞こえていないはずなのに。



「そんなら、おうちで一緒に食べよ。」

なんて、誰かの返事とともに腕を引っ張られ、
体がガクンと引き寄せられた。




＊

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す