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触れそうになった光の唇は、勢いよく私たちの間に入った薮によって遮られた。
「ぁ…。」
私から離れる光の体。
名残惜しさからなのか、私は思わず光に手を伸ばした。
けれど、薮の背中に邪魔されて届かない。
光の唇は何かを言おうとして動いた。
「伊野尾！！もう、いいから！！」
その何かも、藪の声にかき消される。
光は私から離され、薮に強引に包まれていく。
「やだ！！離して！！いのちゃんといる！！」
半狂乱で、薮の腕の中で暴れる光。
その瞳は、いつもの光のものとは明らかに違っていた。
「伊野尾！！光、錯乱してるから！！お前、離れろ！！」
何もできず、ただ立ち尽くしている私に薮が大声で叫んだ。
光の力が強いせいか、薮の腕の中から逃げ出し、
もう少しで私に光の腕が届きそうになった。
それなのに、さっきまでと違い、
私は自分の腕を光に伸ばすことができない。
「やっ！！いのちゃん！！」
制服を乱しながら、それでも私を求める光と、
その光を必死になって後ろから押さえつけようとする薮。
怖い…。
今、目の前にいる光が、私の知っている光じゃなくて。
「早く！！行けってば！！」
薮の悲痛な叫び声にハッとなって、教室を飛び出した。
「やだ！！いのちゃん！！いのちゃん！！」
走りながら、後ろから光が私を呼ぶ声がした。
それでも、ここにいちゃいけないんだって無我夢中で走った。
ううん。
怖くて。
光が怖くて、私は逃げた。
クリスマスソングの流れる幸せに溢れた商店街を
光との思い出の詰まったこの道を
コートも着ずに、光の編んでくれた大事なマフラーすら巻かずに、
寒空の中を、制服姿のままで走った。
ひかる？
ねぇ、ひかる。
走りながら思うことは光のことばかり。
光とのこの三年間だけを思い出しながら足がもつれそうになりながら。
ひかる…。
ひかる！！
それでも息を切らしながら行き着いた先は、
気がつけば、高木の家の前だった。
高木、一人にしないで！！
すがるようにここまで辿りついたはずなのに。
高木の家を前にするとさっきの教室での出来事が嘘のような気がした。
クリスマスとは全く関係のないバイク屋さんの店内は
一応、クリスマスの飾り付けがされているのが外からでもわかる。
高木は、きっとあの中にいるのに。
ほんの数メートルで足が動かなくなった。
§
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(名前)トモコ(プロフ) - 初めまして、1年以上経って感想書かせていただきます。最近見つけて毎日読んでいます。ひかいのが素晴らしい演技してくれて、何回読んでも切ないです。光さんや薮くんのその後が気になります。ので、曲を聴かせて頂きました。ますますその後を読みたいです。 (2018年6月1日 21時) (
レス) id: 808c3ac601 (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - ヨウコさん» そうです！！私の書くお話の薮さんと裕翔さんと山田さんは切なくてなんぼです！！（笑）お三方のファンの方はごめんなさいm(_ _)mこれからも宜しくお願い致します☆ (2017年3月4日 20時) (レス) id: 3d951651f9 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウコ(プロフ) - ご丁寧なレスありがとうございます。やぶぅは切なくてなんぼです！(ひどい)いやーんかわいそうといいながら悶えるのが大好きです。たんぺん歌集のやぶぅも可哀想さにきゅんきゅんしましたから…！光くんsideもとても楽しみです。いつも素敵なお話ありがとうございます！ (2017年3月4日 17時) (レス) id: acf47ae81a (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - ちなみに高木さん贔屓はたかいの推しとしてはしょうがないっということで（笑）薮さんの立ち位置は…きっと次の光さんsideの時はもっと辛くなると思うので…。その時は注意して読んでくださいm(_ _)mこちらでもありがとうございました( ´ ▽ ` )ﾉ (2017年3月4日 16時) (レス) id: 3d951651f9 (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - ヨウコさん» 想像と、中高時代の友人の言動と表情。それらを思い出しながら書きました。私はその世界の中にはいなかったけれど、光さんや伊野尾さんが恋に悩んでいたように私の友人たちも悩んでいて。それらを思い出し少し切なくなりました。きっとみんな辛かったんだろうな〜っと。 (2017年3月4日 16時) (レス) id: 3d951651f9 (このIDを非表示/違反報告)
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