ヒガンバナ【松川一静】

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貴方side

「あ、A大丈夫か？」

一だ
心配かけてしまった

「A先輩持ちますよ」

『大丈夫。英は休んで』

私は1人1人にスポドリを配って行く

「そういや松は？」

やっぱ聞かれた

『…知らない』

そう答えるしかなかった
自分が普段表情を出さないタイプの人間で助かったのかもしれない

でもバレるんだよなあ

「姉様、顔色が悪いよ」

やっぱり

志季にはお見通しだ

『大丈夫、大丈夫だから』

そう誤魔化してタオルを配りに行く

「A、今日は帰って家で休んで」

『徹…？』

ああ、ガチのヤツだ
こういう時の徹は譲らない
逆らえない逆らっちゃダメなんだよ

「廉に電話するから椅子座ってて」

こういう時の志季も頑固なんだよな

諦めよう

私は大人しく座っておくことにした
廉の事だから電話もらって15分後には着く

·

予想通り15分後に廉が来た

「ほんとですね、いつもより顔色が悪いです。熱は無さそうですが念ため帰りましょう」

『分かった』

もう1人マネージャーがいるならまだしも誰もいないんじゃな

「1年でやるから大丈夫だよ
姉様の仕事は覚えてる」

優秀な弟がいたわ

『お願い』

これで心配事もなくなったし、安心して家に帰れる

車に行く途中一静とすれ違った

私はもちろん知らないフリをした

一静は私を呼び止めようとしたが何も言わなかった

多分廉はこれで察しがついたんじゃないかな
私が一静に気付かないなんて事ないもの

ごめん、一静
あなたは何も悪くない

あなたにああいう目をされたら
私は何も出来ないから

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