必要以上に愛されてます。

ゆるむ ページ8

河井side



「…ならええんやけど」

追加注文したお酒がくる

さっきよりも強いのを、一気に飲んだ






「…A」

普段はみやって呼ぶけど、ある程度お酒が入ったらAって呼ぶ

初めて会った時、みやって呼んでもてから

なんとなく…名前で呼びたくても呼べへんくって

お酒が入って、酔ったから…っていう設定で、いつもAって呼んどる


『…もう酔ったんですか？』

…まだ酔ってへんよ

Aって呼びたかっただけ

俺よりも酒が強いAは、少し得意げな顔で俺を見た


「…ちょっとな」

『今日は はやいですね』

「…Aと久しぶりに飲めて、楽しかったからな」

いつも言えないことも言える

全部、酒のせいにできるから

…ずるいな、俺

ずるくて、ダサい



『…私もですよ』

ほんまに嬉しそうに笑った

その笑顔に心臓がドキドキする

…酒のせいとかじゃなくて、ほんまに


「明日は大阪？」

『はい。朝に帰って、5ステあります』

「ハードやな」

『ゆずるさんらに比べたら全然ですよ』

「そんなことないわ」

『…で、明後日また東京です』

「頭おかしなりそう笑」

『ほんまに笑。でも、ありがたいです』

「せやなぁ」


仕事のときとか、眠い眠いよう言うけど

ほんまは誰よりもお笑い好きで、仕事好きで、楽しんで、

誰よりも輝いとる



「そういえば今日、眠いって1回も聞いてへんな」

『眠くなるんはだいたいバツウケの時やから』

「なんでやねん」

『みんなとおると、落ち着くんですよね。気がゆるんじゃって、眠くなります』

「ゆるみすぎやろ笑笑」

収録中も寝とるときあるやん



『…特に、ゆずるさんのそばにおると…』

「…えっ？」

『割とゆるんじゃいます』

…なにそれ


『…変な顔』

「うるさいわ」

そんなん言われたら、誰だってニヤけるやろ


『ゆずるさんの膝枕はあんま好きじゃないんですけどね。もう少し肉つけてください。かたいです』

「じゃあなんでしたんや」

『匂いが1番落ち着くので』

…うわ〜、やば

自分でも顔が熱くなるのがわかる




『…お酒まわってきました？』

「…かもな」

まだ全然余裕やけど、一応そういうことにしておいた



　
　
　
　
　

　








　









　




「…俺が払う言うたのに」

『いつも割り勘やろ』

「おい、タメ口」

『…あ、すんません』

結局割り勘になって、ふたりでタクシーに乗る


Aの泊まるホテルまで

そう伝えて、記憶がなくなった……

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