必要以上に愛されてます。

彼氏 ページ4

河「…みや」

『なんですか』

荷物をまとめて、楽屋を出る直前で話しかけられる




河「…今日、みんなで飯行くけど、お前も『すみません、今日彼氏に会ってくるんで』あー、そうか……」


「「「彼氏ぃっ？！？」」」


『じゃ…』

呼び止める声を無視して、いつもの居酒屋に行く









　
　









『…ごめん、お待たせ』

「ん、大丈夫」

個室に入って、向かいの席に座る


「珍しいな、Aから呼んでくれるとか」

『…ごめん』

「いや、ええよ。忙しいもんな」

『…そうやなくて…別れよ』

「…えっ？」

かばんから写真を何枚か取り出す



「……」

『…オカが、教えてくれた』

腕組んで歩いとる写真、抱き合っとる写真…

「あ、あぁ…この人は妹で」

『…』

もう一枚、写真を取り出す

…その人と、キスしとる写真

『…妹と、ちゅーするんや』

「……」


ちょっとしてから、

「ごめん」

とだけ言った



『…ええよ、しゃあない。私のせいや』

仕事を理由にして、会えなくなってた原因は私や

「いや、Aは悪くない。俺が…断りきれへんかった」

『…うん』

「前から好いてくれとったらしくて、俺…気づかんくて」

『……うん』

わかっとる

鈍感やもんな、じょーくん

じ「…ほんまに、ごめん。でも俺、Aのこと好きや」

『…』

いつだって真っ直ぐに私を見てくれた

ほんまのこと、いつも伝えてくれた



じ「Aだけやから」

『…ごめん』

…完全に、嫌いってわけやないんよ

でも……


『これ以上、一緒におったら…お互いしんどくなるだけやと思う』

彼「……」

『…私も、』

完全に嫌いじゃないとか…回りくどく言ったけど

私もまだ好きや



『…ごめん』

一瞬、魔がさしただけってわかるけど…

つらいんよ

一瞬でも、じょーくんに嘘をつかれたことが

つらいんよ


それに、またこういうことが起こるかもしれへん

私やって、芸人っていう男社会の中で生きていくんやから

じょーくんにつらい思いさせるかもしれへん

…というか、もうさせてきたんか


じ「…わかった」

『…』

じ「…ありがとう。大好きやで、A」

『…ありがとう』

1000円札を置いて、店を出た









　
　

　




　


　
　



『…はぁ』

肩の荷がおりた気がした

好きやけど、別れた

…思っとったより、あっさりいくんやな、こういうの

最初からそんなに好きじゃなかったんかも


『…最低かよ』

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