「夢主が空気な小説」←

いつもと違う君、３４話 ページ36

「銀城さんおはざーっす！」

「あたしがこの前言ってたケーキ出来てるー？」

「勿論！」もう眩しいくらいのその笑顔。カフェ雪月花で働く新人君は癒やしに近い。そりゃたまに質の悪いイタズラを仕掛けてきてイラッとする事はありますが、大体の彼は癒やしです。それはそうと、私、Aは悩んでいます。

「そろそろ新メニュー考えないとなぁ...」

なんてカフェとしては初歩的な悩み。店長の趣味で建てられた雪月花は、客が来ないような森の中にあり、そもそも客が来ることを期待していなかった為、メニューが少ない。ので、考えている訳だが...。

「浮かばなーい！」

お客さんも来ないのでスタッフルームでゆゆっくりするかと扉を開ければ、中からフワリとコーヒーの薫り。だけど、何かが違う。

「あ、お疲れ様ーッス！何か飲みますか？」

「え？う、うん...新人君の飲んでるのって」

「あー、ウィンナーコーヒーですよ。ウチの店には無いんで、勝手に作っちゃいました」

ウィンナーコーヒー。名前から誤解され易いが別にウィンナーが入ってる訳じゃない。
コーヒーの上に生クリームがのったもので、確かにウチの店ではまだ出していなかった！「お手柄だね新人君！」なんて笑えば、意味も分からずとりあえず「や、やったー！！」なんて喜ぶ新人君かわいい。

「新人君がコーヒー飲むなんて以外だね、いつもペットボトルのジュースじゃない？」

「はい。でも流石に毎日は体に悪いかと思いまして！」


いつも甘い薫りの新人君は、今日はちょっぴり大人なコーヒーの薫り。いつもとは違う君。

※血溜まりの中で愛を叫べ、３５話→←おぅふ神様ぁ、３３話

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