「夢主が空気な小説」←

※死にゆく時を見守って・純粋死神ver ページ18

『走馬灯ってどんなものかなぁ？』

銀城はまたこんな事言っているのかと、バカだなぁと感じた。そう言われた時は、答えを濁して逃げたっけ。男は「ハハハ」と乾いた笑い声を出した。

「これより、死神の処刑を行う！神父様」
「...嗚呼」

かつて死神だった俺は、ヘマをやらかし、人間による数年の拷問を受け、そして今日、十字架に貼り付けられ燃やされる。神父と呼ばれた白銀にそっくりな男は俺の前に十字架を掲げ、祈りと言うものを唱え始める。本当なら、死にそうだけど死にきれない程の痛みが襲うはずなのに、その神父が言う祈りは適当であった。こんな事してる間に逃げれば良いのにと、心の中で唱えた。だが、飛ぶための羽は、もう千切られてしまった。

「早く殺せよ...」

目の前の神父には微かに聞こえるであろうかすれた音量。神父は苦しそうに顔を歪めると、俺の足元にある木材達にマッチを投げた。

「こんな事したくねぇんだよ...！」

神父が俺を睨みながら言い放った。
どんどん燃え広がる赤い炎。長年の拷問で潰れた喉では叫びも出ない。人間達が好奇と憎しみの目で俺を見る。神父は顔を片手で覆い、震えるもう片手で十字架を握っている。嗚呼痛い熱い焼ける助けてくれ。

「ぎ.......じょ、ぅ.......」

教えてやりたかったなぁ。走馬灯ってもんをよ。


「ああ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁっっ!!!!」
どんどん塵と化す死神の身体。

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