「夢主がほぼ空気な小説」← (ページ9)

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白銀でファーストコンタクト、６話ページ9

それ以上でもそれ以下でもなく、ただ美味しい。それがこのカフェ「雪月花」で飲んだコーヒーの感想。いつもカウンターにいる一般天使の少女は、怯えながらも、上質なコーヒーを私に提供する。これだから天使は可愛らしい。__別にそういう趣味は無いんだよ本当だよ__

いつもなら銀城と２人で来るが、予定が組み違い私１人で天国へとやって来た。例のカフェで、カウンターの少女が顔を露骨に歪めたものだから私達に慣れたのだろう。驚いた。

「え、と。お客様...」

一人席に座っていると、例の少女がケーキを載せたお盆を持ち近付いてきた。はて、ケーキなど頼んだだろうか。飲みかけたコーヒーをカウンターに置き、「なに？」と尋ねる。前回__は__お会計をしたが...。

「いつもご来店ありがとうございます。これは、お礼のお品です」

「え、ぇ...？」

__悪魔だから真正面から礼を言われるの慣れてないからどもるんだよね、うわ何をするやめ__
そう言ってカウンターに置かれたのは、美味しそうに輝くモンブラン。

「...」

しばし呆然としていると、不思議に思ったのか少女は「お客様？」と一声をかけた。その声に我に返り、「...ありがとう」と微笑んでみると、少女は顔を少し赤くして、「いいえ」とはにかんだ。

「それでは、いただきます」

「どうぞ！」

少女は店の奥へ皿洗いへと向かった。その背中を見つめた後、モンブランへとフォークをいれた。うわ、柔らかい。美味そう。

パクッと一口頬張る。

「...！」

口の中に広がる控えめな甘さ。コーヒーとよく合う。

皿洗いをする彼女の胸元、名前の書かれたエプロンを見て、フフと笑った。

「A、ちゃんね...」

覚えておこうかな、なんて。