【テニスの王子様】花言葉とパレット【幸村精市】 (ページ8)

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7:再び屋上庭園にてページ8

月曜日の昼休み。
私は屋上に向かうべく階段を上っている。
目的は2つ。
幸村先輩にお礼を言うのと、絵の続きを描くこと。
ドアをゆっくり開いて屋上に出る。
花壇の方へ行くとやっぱり幸村先輩がいた。
先輩は私にすぐ気づいた。

｢フフ、今日は学校探検はいいのかい？｣

少し意地悪な笑顔で言う幸村先輩。
優しい雰囲気の人なのに、所々意地悪だ…

『絵の続きを描きに来たんです！』

少しふてくされて言うと、困ったような笑顔でごめんね。と言われる。
私何回ごめんねって言われたんだろう…
そんなことに疑問を持ちながら、さっきの言葉に付け加える。

『…あと、先輩に昨日のお礼を言おうと思って…』

そう言うと、先輩は少し驚いた顔をする。
ありがとうございます。と言って、軽くお辞儀をすると、どういたしまして。と先輩が微笑みながら言う。
軽い会話をした所でベンチに座り、描き始める。
チラッと幸村先輩を見ると、優しく微笑んだ横顔が見える。少し鼓動が跳ねた気がした。
…油断すると集中出来なくなる。
スケッチブックに視線を落とし、描き進める。
前もそうだけど、自然とペンがすらすら進む。
よし。描き終わった。持っていたペンケースから色鉛筆を出し、色を塗る。簡単に色を塗って完成。
結構な自信作。完成した絵を遠くから眺めてみる。

｢完成したのかい？｣

気づくと幸村先輩が近くにいた。

『はい！自信作です！』

と、笑顔で言うと幸村先輩も笑い返してくれた。

｢見せてもらえるかい？｣

もちろんと言わんばかりに頷くと、幸村先輩は私の隣に座る。
スケッチブックを先輩に手渡すと先輩は優しく微笑んだまま絵を見る。
なんか少しドキドキする。

｢いい絵だね。｣

微笑んで言う先輩に釣られて、私も笑う。
ちょっと嬉しい。

｢Aさん。今日の放課後、暇かい？｣

突然振られた話に戸惑いながら、はい。と答える。

｢今日、俺の部活見に来ないかい？お友達もつれてきていいから。｣

想像してた話と違って驚いた…ってあれ？
私、先輩の部活知らないや…

『あの、先輩って何部でしたっけ…？』

恐る恐る聞いてみる。すると先輩は、言ってなかったっけ？と言う。

｢テニス部だよ。部長してるんだ。｣

“あのテニス部”か…あの状況を見た私からしたら、少し怖いけど、友達…心ちゃんを呼んでいけば怖くないかな…？それに先輩の頼みだし。
行きます。と言うと、先輩の表情(かお)が明るくなる｡
同時に､昼休み終了のチャイムが鳴り響いた｡