【テニスの王子様】花言葉とパレット【幸村精市】 (ページ7)

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6:放課後。電車にて。ページ7

正直思う。さっき手を繋いだ？だけで、死にそうなくらい恥ずかしくて心臓もバクバク言ってたのに、電車に乗るなんて、本当に死ぬんじゃないか…と思う。
しかもちょうど通勤ラッシュで、人が多い。
私の死が確定した気がする。

｢気づいたら6時か…｣

真剣な目で時計を見つめる幸村先輩。
その横顔に思わず見とれる。
それに気づいたのか、幸村先輩が私の方を見る。
優しい笑顔で、｢どうしたの？｣と言われる。
『なんでもないです』と、微笑んで返すけど、心臓が口から飛び出すんじゃないかってくらいにバクバク言ってる。
ホームにいる時点で人が多い。
これじゃあ電車はぎゅうぎゅう詰めかな…
少し憂鬱になりながら考えていると、電車が来る。
扉が開くと、水が流れていくように人々が動き始める。
瞬時に幸村先輩に、手を掴まれる。

｢乗れなくなる前に急ごう。｣

『は、はいっ。』

幸村先輩に手を引かれながら足早に進む。
何人か人にぶつかったけれど、気にしている人はいない。満員電車ってこんな物なのかな。
何とか電車に乗り、出入口の隅に立つ。
手すりにしっかり掴まって、電車を動くのを待つ。
ふと前を見ると幸村先輩は、壁にもたれかかっている。
手を伸ばせば届く距離。
満員電車とは言え、思ったより近くない。
うん。これぐらいの距離なら死にそうにはならないかな…
少しホッとしていると、電車が動き始める。
電車が大きく揺れてバランスを崩しかけた時、後ろにいた人とぶつかる。

『わっ…！』

ぶつかった勢いで前のめりになり、幸村先輩にもぶつかる。

｢大丈夫かい？｣

ふんわりとした花の香りに、優しく包まれた。
最初に想像した近さより遥かに近い。
もう慌てすぎて逆に冷静になる。
そんなこと考える私とは裏腹に心臓はすごい音を立てている。
人が詰まって身動きが取れず、元に戻れない。

『大丈夫です…一応…』

駅に着くまでこのままなら、私の心臓持つんだろうか…
考えることを辞めるつもりで瞼を閉じた。

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優しく肩を叩かれて目を開ける。

『ん…』

｢フフ、おはよう。もうすぐ次の駅だけど…｣

幸村先輩にそう言われて電光掲示板を見る。

『あぁ…次の駅で降ります。』

眠たい目を擦りながら、答える。

｢そうか。俺も次で降りるから、途中まで送るよ。｣

ありがとうございます。と一言いって欠伸をすると駅に着く。外に出て少し歩いて先輩と分かれる。
そのまま家に帰って怒られたのは言うまでもない。