5:放課後。画材屋さんにて。 ページ6
幸村先輩に、手を引かれながら歩く。
『そう言えば、幸村先輩。部活は…？』
幸村先輩が何部かも知らないし、そもそも部活に入っているかも知らないけど聞いてみる。
すると、先輩は足を止めて
｢あれ？もしかして、Aさん時間見てない？｣
そう言われて、手に握っていたスマホを見る。
時間は5時。部活は終了している時間で、いつもならとっくに家に着いている時間。
うろついてたら、いつの間に時間過ぎてたのか…
これは、お母さんに怒られるな…
なんか色々複雑な気持ちになっていると、顔に出てたのか、
｢えっと…早く買ってこようか…？｣
と、先輩に言われる。その顔は微笑んではいるけど、困ったような笑顔だった。
『…はい』
気を遣わせてごめんなさい……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
しばらく歩くと、大きなお店に着く。
中に入ると、新品の画材の香りがひろがる。
見渡せばいろんな画材が沢山あって
思わず『おぉ…！』と、声が出た。
それを聞いた幸村先輩の表情は、何処と無く嬉しそうだった。
｢スケッチブックは、こっちだよ。｣
先輩に手を引かれて、店内を歩く。
『それにしても大きいお店ですね。先輩も絵、描くんですか？』
｢ああ。俺は水彩画を描くんだ。｣
幸村先輩は、真っ直ぐ前を見て歩く。
通路が狭いのに人が多い。
はぐれないようにしっかり手を握る。
…少し恥ずかしい。
『私も水彩画、よく描きますよ。』
余計なことを考えたせいで頬が熱い。
幸村先輩がこっちを向いてなくて良かった…
自分で自分を誤魔化すように頬を軽く叩いて答える。
｢フフ。そうかい、気が合うね。｣
幸村先輩は、前を向いたまま答える。
｢あ。着いたよ。ここにスケッチブックがあるよ。｣
幸村先輩が振り向く。
思わずそっぽを向く。
絶対、私、顔真っ赤…
不審に思われたのか、｢どうしたの？｣と、幸村先輩に聞かれる。
『な、なんでもないです！わ、私スケッチブック買ってきますね！』
先輩の顔を見て笑う。
そそくさとスケッチブックを取ってレジへ走って向かう。
早々に会計を済ませて、先輩の元へ戻る。
『さ！帰りましょ！』
｢そうだね。｣
顔赤いのバレなかったよね…？
その事で、頭がいっぱい。
｢俺は電車に乗って帰るけど、Aさんは？｣
『私も電車です。西方面の…』
｢フフ、同じだね。｣
マジですか…
ストーリーアイテム
苺のシャルロット
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作者名：ミケねこ | 作成日時：2019年1月1日 8時
