【テニスの王子様】花言葉とパレット【幸村精市】 (ページ48)

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43:追い付かないメリーゴーランドページ48

｢久しぶりに一緒に帰らないかい？｣

『え？……あっ……え？』

頭の中がパニックを起こしているから、冷静に数分前、いや、ほとんど数十秒前を振り返ろうと思う。

今日は疲れたし、早く帰ろうと思って校門から出ようとしたら、いきなり幸村先輩に呼び止められた。
そして、現在に至る。

無理。冷静になれなかった。
いや、嬉しいんですけどね？
突然でなんて返せば良いかわかんない。
いや、簡単に返せばいいんだけどさ。

ごちゃごちゃに、なった頭の中から必死に絞り出した答えを返す。

『も、もちろんです！』

sureとか、yes,of course!の英語が出てきたのは、自分の中に留めておこう。

＿＿＿
＿＿
＿

『＿＿で、ブンちゃんが＿＿』

｢ふふっ、そんな事あったんだね。｣

前に帰った時みたいな、沈黙ではなく自然と話せてる自分を褒めたい。
ほとんど毎日、屋上で会ってるから、自然と話せてるのは当たり前だと思うけど。

幸村先輩は、いわゆる聞き上手だ。
どちらかと言うと、話すより聞きたい派の私でも、話すのが楽しくてたまらない。

その日の出来事とかを話しているだけで、特別面白い話ではないのに、笑顔で聞いてくれるのが、何となく嬉しい。

幸村先輩の笑顔が見れるなら、ずっと。

＿＿＿ずっと話していたい。

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｢久しぶりに一緒に帰らないかい？｣

彼女なら、きっとOKしてくれるだろう。そう分かってるのに、心の中に不安が積もる。
もし断られたらどうしよう。という不安が。正直、自分らしくないな。と思いつつ、返事を待つ。

Aさんは、少し戸惑いながらも、もちろん。と答えてくれた。

＿＿＿
＿＿
＿

『＿＿で、ブンちゃんが＿＿』

｢ふふっ、そんな事あったんだね。｣

前に帰った時のような、沈黙が続く状況じゃなくて内心ホッとする。今みたいに、笑顔で話をしてくれている方がいい。

……大半が丸井の話なのは、ちょっと気に食わないけど。

誰彼の区別をつけず、人の話をよく聞く事が出来る彼女は、どちらかと言えば、人の話を聞くのが好きなんだろう。

だけど、俺の前では、こんなに楽しそうに、嬉しそうに、笑って話してくれているのが、何となく嬉しい。

Aさんの笑顔が見れるなら、ずっと。

＿＿＿ずっと聞いていたい。

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メリーゴーランドの様に、追いかけ続けて、回るだけ。

回り続けているせいで

＿＿＿追いつくことが出来ない。