【テニスの王子様】花言葉とパレット【幸村精市】 (ページ40)

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36:優しい水色と夏の向日葵ページ40

美術の時間。
気まぐれで有名らしい、美術の先生の言葉に耳を疑う。

｢今日は、自由に絵を描いてくださーい｣

ざわつくクラスメイトの隅で私は、何を描こうか考えていた。

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絵のアイデアを出すために、絵の具を並べてみる。

赤、橙、薄橙、黄色、黄緑、緑、青緑、青……

赤を始めにして、色相環の順に並べた12色の絵の具を見て、その間の色を考えながら、色のイメージを連想する。私なりのアイデアの出し方。

青……水色。水色のイメージは、優しい。爽やか。夏。夏は、向日葵……とか、……あ。

ぼんやり浮かんだイメージを、スケッチブックに描き出す。
夏の青空。太陽に向かう向日葵。

うん。良い絵が描けそうだなぁ。そうだ。手前に人物を描こう。

いろんなイメージを浮かべて、ラフを描き進めていった。
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下描きを描いている途中で、少し悩む。

人物は誰を描こうかな……

悩みながら、空や向日葵を細かく描いていく。
思いつかない時の癖だ。
うーん……思いつかないし、実在の人でも描くかなぁ。
この絵に合う人は誰だろう。
目を閉じて、絵の風景を思い浮かべる。

夏の涼しい青空。入道雲と、風に揺られている向日葵。儚く、綺麗な……幸村先輩。

思いついたのは、咄嗟(とっさ)の事だけど、思ったよりしっくりくる。

うん。幸村先輩描こう。

いつも見ている幸村先輩の横顔を思い出しながら、描き進める。優しいあの笑顔を。
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ひと通り下描きができた時。なんとなく違和感を感じる。

なんか違う……

淡い灰色の線で、描かれた下描き。
手前に描かれた、優しく微笑んだ幸村先輩。
爽やかな青空と、明るい向日葵には、とても似合うはず。
だけど……なんか納得行かないなぁ……

触れてしまえば、壊れてしまいそうな……儚さを描きたい。

そう思うと、止まらなくなる。

時々、幸村先輩が見せる、物憂げな儚い表情を思い出しながら描き出す。

集中しながら描いていたからか、授業終わっていた。