33:儚い紫苑色と淑やか洋琴�� ページ37
『幸村先輩って、妹いるんですか？』
休憩中に聞いてみる。唐突な質問に、幸村先輩は少し驚いたような顔をして、どうしたんだい？いきなり。と言った。
『さっき、2年生ぐらいの、幸村先輩に似てる女子が来たんです』
と、紫音先輩との事を話す。
話し終えた時、なるほどね。と、幸村先輩は納得したように頷いた。
｢うん。紫音は俺の妹だよ。2年D組で、赤也と同じクラスだったかな｣
でも、そんなに似てるかな？と、首を捻る幸村先輩。結構似てますよ。と言っても、そうかい？と、腑に落ちない様だった。
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部活が終わって、コートから出る。
｢あ。｣『あ。』
紫音先輩が居て、思わず出た声が被る。
『紫音先輩……ですよね？』
今日会ったばかりで、合ってるか不安になりつつ聞く。
｢なんで、疑問形なの……えっと……｣
『AAです。1年C組です』
自己紹介をすると、よろしく。と、言われて、よろしくお願いします。とお辞儀をして、返した。
顔を上げると、髪を横にリボンでまとめて、肩に流している、お淑やかな雰囲気の女子もいた。
｢えっとこっちは……｣
紫音先輩が、紹介をしようとした時、本人が遮る。
｢私は春宮桜です。2年B組だよ。よろしくね｣
春の花のように優しく笑う桜先輩に、なんとなく暖かい気持ちになる。春の日差しを浴びているような。そんな気持ち。
ふと、桜先輩の手元を見ると、楽譜を持っている。
『桜先輩、吹奏楽部とかだったりするんですか？』
軽い疑問をかけてみると、桜先輩は、ふんわりと微笑んで頷いた。
｢そうだよ。昼休みはよくピアノを弾いてるんだ｣
その言葉に、えっ！？と、驚いてしまう。
どうしたの？と聞かれ、今日、仁王先輩に言われて、幸村先輩と一緒にピアノを聞いたことを話した。
すると、桜先輩は顔を真っ赤にして、
｢はわわ……！どうしよ、紫音ちゃん！｣
と、慌てていた。それを見た紫音先輩は、少し呆れたようにため息をついた。
｢ごめんね。この子、仁王先輩の大ファンだから……｣
と、説明をされる。
納得しながら、なんとなく見た紫音先輩の手にはスケッチブックがある。
美術部なのかな。
聞こうとすると、Aさん！と私を呼ぶ幸村先輩の声がした。
『あ、そろそろ行かないと……それじゃあ！』
そう言えば、まだ着替えてないんだった……
電車の時間に間に合うことを願いながら、幸村先輩の元へ駆け出した。
紫苑色…和色。青紫に近い。
洋琴…ピアノの和名。
ストーリーアイテム
苺のシャルロット
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作者名：ミケねこ | 作成日時：2019年1月1日 8時
