31:気まずいフライドポテト�� ページ35
｢なぁ｣
10分ほど続いた沈黙を切原先輩が破る。
『なん……ですか？』
私が答えると、また少し沈黙が、続いた。
｢お前……えーっと……｣
私の名前を思い出せないのか、切原先輩は、上の方を見て唸る。
『Aです。AA。』
｢あー！そうだ！A！｣
切原先輩は、スッキリしたように笑い、言葉を続けた。
｢Aってさ、丸井先輩と仲いいよな。｣
まあ、そうですね。と、至って普通に返そうと考えながら、溶けたジュースの氷をストローですする。
口に水を少し含みながら、ストローから口を離すと
｢もしかして、付き合ってんの？｣
『っ…？！』
いきなりの爆弾発言に水を吹き出しそうになる。
ギリギリで止めて、慌てて飲み込み、咳き込む。チラリと切原先輩を見ると、え？俺、なんか変な事言った？とでも言い出しそうな顔をしていた。
『何言ってるんですか……私とブンちゃんは、ただ単に仲良いだけです……何を見てそう思ったんですか……』
咳が落ち着き、そう言うと、切原先輩は、即答と言ってもおかしくない速さで答えた。
｢なんとなく｣
『なんとなくで、言わないでくださいよ！』
あまりにも無責任な言葉に、反発的に返すと、困った笑顔で、怒るなって……と言われた。
｢なんかよ、今日、Aを誘ったの丸井先輩だし……それに注文しに行く前とか、エスコート？してたから、もしかして付き合ってんのかなぁ……って。｣
その説明に抱いた率直な感想。
単純だな…この人。だから仁王先輩にイタズラされるんだよ………
『正直、先輩単純ですね。』
思ったままそう言うと、切原先輩は、拗ねたような顔で、んだよ……と呟く。
『私とブンちゃんは、れっきとした友達です。それに……』
そのまま続けようとするが、続きの言葉にハッとする。
私、なんで…
幸村先輩が好きだから。
そう続けようとしてた。 別に私は、幸村先輩が、好きだなんて認めたつもりはない。なのに……
｢それに？それに、なんだよ｣
切原先輩にそう言われ、つい、うう…と、唸る。
『なんでもないです！』
私がそう言うと、同時にブンちゃん達が戻ってくる。ナイスタイミング。
＿＿
＿
｢なあ、A｣
お店を出ると、切原先輩に呼ばれて振り返る。
｢なんか、硬っ苦しいし、タメ口にしようぜ。｣
デジャブ感のある言葉に、少し笑う。
『もちろん。よろしく。赤也くん。』
自分でも知らず知らずのうちに意気投合してたのか、2人でハイタッチした。
32:儚い紫苑色と淑やか洋琴�、�←30:気まずいフライドポテト��
ストーリーアイテム
苺のシャルロット
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミケねこ | 作成日時：2019年1月1日 8時
