【テニスの王子様】花言葉とパレット【幸村精市】 (ページ28)

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25:グリーンアップルのストロベリー② ページ28

まだ着慣れていない、この学校の体育着とジャージを着て、部室に向かった。
部室のドアをノックする。
すると、そのノックに答えるように、どうぞ。と幸村先輩の声がした。
失礼します…と言いながら、恐る恐るドアを開ける。なんとなく想像していたものとは違う、綺麗な部屋が視界に広がる。
それどころか、微かに花の香りがした。

｢ようこそ。Aさん。立海テニス部へ。これからよろしくね。｣

そう幸村先輩が微笑んで言うと、周りの部員さんたちも口々に｢よろしく｣という言葉を掛けてくれる。
いつか見た、張り詰めたような緊張感のある空気とは違う、暖かい雰囲気に笑みが零れた。

『よろしくお願いします！』

さっきの緊張も、ちょっとした怖さも。
全て和らいで行った。
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コート近くのベンチに座って、練習風景を眺める。
ついさっき、部活挨拶の後に軽く自己紹介をした。
張り詰めた緊張感は、やっぱり健在だったけど。
そして、部活の流れを覚えて欲しいと幸村先輩に言われ、見学中。
遠くでしか見た事のない練習を、こんなに近くで見れるという感動に浸りながら、見ていると、丸井先輩がやって来た。

｢休憩だから話そうぜぃ！｣

その言葉に、いいですよ。と返事をすると、嬉しそうに私の隣に座る。
そして、自己紹介してねーよな。と呟く丸井先輩。

｢んじゃあ、改めて。俺は、丸井ブン太。3年B組だぜぃ。好きな食べ物は、なんでも好きだけど、特にスイーツだろい！｣
飛びっきりの笑顔でそう言い、というわけで、シクヨロ！と、ウィンクしながら言う丸井先輩の笑顔に釣られるように、笑いながら

『よろしくお願いします。丸井先輩！』

と言うと、明るく返されるのではなく、むしろ、う～ん……と、丸井先輩は唸った。
どうしたのか聞くと、

｢いや……女子と話すと、いっつもタメ口だから、違和感するんだよなぁ……でも、先輩後輩だしなぁ……｣

丸井先輩は数秒悩んだと思えば、まぁいっか。と言い、

｢なぁ、A。これからは、俺とタメ口で話してくれよ！ついでに、先輩付けも無しで！｣

えぇ……と困惑する私に、いいから！と少し強引に言われる。

『分かっ…たよ。…えと…』

どうせなら、単純な呼び方はしたくない。
あ。いいのを思いついた。

『ブンちゃん！』

私の言葉に、目をぱちくりさせた後、

｢なんだよそれ。別にいいけどよ｣

と、笑いながら言うブンちゃん。
休憩が終わって、コートに戻るブンちゃんに、後でね。と声を掛けた。