【テニスの王子様】花言葉とパレット【幸村精市】 (ページ24)

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22:小さく、大きな決断② ページ24

お昼ごはんの時間。まだ、ご飯を食べながら入部届けとにらめっこしていた。

｢どうするの？昼休みに出しいく？私ついて行こうか？｣

心ちゃんはさっきから、こんな感じで心配している。

『出しに行くよ。昼休みしかないでしょ。あと、心ちゃん幸村先輩見たいだけでしょ』

私もこんな感じで、返している。
バレたか…と言いながら、心ちゃんは玉子焼きを口の中に放り込んだ。
お弁当を食べ終えて、蓋をする。さっさと片付け、カバンに入れた。
チャックを閉めたと同時に、チャイムが鳴った。

『よし。行ってくる』

動揺はしてない。結構落ち着いてる。
行ってらっしゃい。と言う心ちゃんの声を背に歩く。

｢A｣

突然、心ちゃんに呼び止められた。
振り返ると、

｢入部届け忘れてる。｣

『……ごめん。』

めっちゃ動揺してた。
＿＿＿
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屋上のドアを開ける。いつもと違って冷たい風が吹いた。空は曇っている。
縁起が悪いなぁ…
屋上を見渡す。誰もいない。
幸村先輩は今日もここに来るはず。
金曜日の昼休み。先週のことを思い出す。
幸村先輩と初めて会ったあの日。
つい最近なのに、とても懐かしく感じる。
そっと、花壇の花たちを見つめる。
もし、心ちゃんの言った通り、私が幸村先輩の事を好きなら……いつから？
そんな事を考えてると、ドアの開く音がする。
身体に緊張が走る。きっと幸村先輩だ。

｢あれ、Aさん。どうしたの？｣

後ろ手でドアを閉めた幸村先輩は、もう片方の手にじょうろを持っていた。

『き、今日は先輩に、渡したいものがあって……』

なにこれ、新手の告白かなんか？
自分で言っといてそう思う。

『これ……なんですけど……』

手に持っていた入部届けの紙を見せる。
心臓がバクバクして、手が震える。
今更、冗談とか言われたらどうしよう。

｢入部…届け…？｣

驚いた顔をして、私の顔を見つめている幸村先輩。

｢本気かい？｣

その言葉で、緊張が吹っ飛んだ。手の震えも。心臓のうるさい音も。

『本気に決まってるじゃないですか！私、あの言葉が本気か、ずっと悩んでたんですから！今更冗談とか言わないでくださいよ？！』

怒っているような口調で言ったけど、怒りより、泣きそうだった。冗談だったら嫌だし……
じんわりと目尻に熱が集まる。鼻の奥からツンとした感覚がした。

｢泣かないで。冗談なわけないだろう？｣

幸村先輩は、入部届けを受け取り、微かに笑いながら、ハンカチで私の涙を拭うと、優しく私の頭を撫でた。