【テニスの王子様】花言葉とパレット【幸村精市】 (ページ22)

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20:茜色の太陽と、青い胡蝶蘭ページ22

女子たちの歓声。響くボールの音。
特に用はないのだけど、テニスコートの近くにいる。
なんとなく様子見的な？……ともかく、よく分からないけど足がテニスコートの方へ動いたから、来た。うん。そういうことにしよう。
結局、来たはいいけど、相変わらずの女子の多さで……
時計を見ると、もうそろそろ部活終了。
帰ろうと引き返すと、見覚えのある姿。

『茜先輩！』

気づけば、そう声を掛けていた。

｢あ！Aちゃん！お久～！｣

月曜日に出会った、夏刈(なつがり) 茜先輩。
心ちゃん曰(いわ)く、柳先輩の幼なじみ。
そして、隣には茜先輩より少し身長が高い女子がいた。青い縁(ふち)の眼鏡をしていて、胸のあたりまである黒い髪は、姫カットのような髪型で、整えられていた。
タレ目で、綺麗な顔立ちをしている。
あ。つい癖で人間観察しちゃった。
頬を染めてそっぽを向かれる。

｢ごめんねー。この子、内気だからさ。｣

茜先輩は、そう言って彼女の肩に手を置く。

｢この子は、3年A組の、冬木蘭ちゃん！｣

自慢げな笑顔で、紹介する茜先輩。
肝心の蘭先輩は、耳まで赤く染めて、顔を手で覆い尽くしている。

｢艶やかな黒髪！雪のように白い肌！ほんのり赤い唇！まさに、現代の白雪姫！そして……！｣

｢もうやめてよ…茜ちゃん…！｣

顔を真っ赤にして、茜先輩の肩をポカポカしている蘭先輩。ごめんごめん！怒らないでー！と、茜先輩は、笑いながら言う。仲いいんだろうな。
にしても、茜先輩の語彙力のギャップがすごい。
なんか…もっと語彙力ない感じかと…失礼だけど。
そんなことを考えてると、蘭先輩は私の方へ向き直して、改めて自己紹介する。蘭先輩は、美術部の部長らしい。私も自己紹介を返した。
そして、茜先輩の提案で、3人で帰ろう！ということになった。

｢茜ちゃん……柳くんはいいの……？｣

心配そうに、茜先輩を見て言う蘭先輩。

｢へーきへーき！蘭も、真田くんと帰れないし、おあいこー！｣

｢ばっ…！ちょ……茜ちゃん！｣

再び、顔が真っ赤になる蘭先輩。笑いながらも謝る茜先輩。
なんでも言い合えるような仲のいい2人を見て、
私と心ちゃんも、2人みたいに、なれたらいいなぁ…
なんて思った。

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『そう言えば、二人とも部活はどうしたんですか？』

｢美術部は元々、終わるの早いから…｣

｢蓮二と帰ろうと思って、早めに終わらせた！｣

茜先輩が部長で大丈夫かな……女バレ。