【テニスの王子様】花言葉とパレット【幸村精市】 (ページ11)

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9:放課後。テニスコートにて。② ページ11

幸村先輩と話していた私を見て、心ちゃんから一言。

｢本当だったんだ…｣

『え？信じてなかったの？！』

正直、あんまり…と言いながら目をそらす心ちゃん。
ひどいなぁ…と言うと、心ちゃんは申し訳なさそうに笑って謝る。もちろん許すけど。
茶番をしていると、笛の音が鳴る。
周りの空気が緊張感に包まれる。
遠くて上手く見えないけど、コートの前に部員が集まってるのは分かった。幸村先輩がみんなの前に立っている。活動の説明してるのかな。
私もかなり集中して見てるけど、心ちゃんも集中して見てる。
…違う意味で。

｢柳先輩どこだぁ…？｣

『心ちゃん怖い。』

フェンスにしがみついてる心ちゃんを見て気が抜ける。ふと周りを見ると、ほかの女子も心ちゃんと同じ感じになっていた。
女子怖いなぁ…

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しばらくすると、試合が始まり、それと同時に女子の黄色い声が上がる。

｢お！ダブルスの試合だ！だれがでるのかなぁ～。でも、手前コートの右半分しか見えないや。｣

心ちゃんは少し残念そうに言う。
その横で私は、背伸びをしながらコートを見る。
なんとか見えたのは、心ちゃんと同じく手前のコートの右半分。

｢あ！丸井先輩とジャッカル先輩だ！｣

プラチナペアだぁと言ってニコニコしている心ちゃん。
見える分のコートには、赤髪の先輩とスキンヘッドの先輩がいる。
“プラチナペア”心ちゃんはそう言ってたけど、きっと強いんだろうな…それに、丸井先輩って5時間目に心ちゃんが話してた先輩か…。
テニスの知識は皆無な私でも少し楽しみ。
試合が始まると、黄色い声がより一層大きく上がる。鼓膜が破れるんじゃないかと思うぐらいの大音量に思わず耳を塞いで目をギュッと瞑る。
目を瞑ってたら試合見れないや…と思い、恐る恐る目を開ける。
微かに見えるコートに目を凝らす。
不意に見えた一瞬の出来事に自分の目を疑う。
言葉では上手く表せないけど、丸井先輩がラケットで返したボールが、ネットの上に乗って1mぐらい転がって相手のコートに確実に落ちる。
いくらテニスに関して知識のない私でも有り得ないことぐらい分かる。
いやでも有り得てるんだけど…
錯乱してる私を見てクスッと笑う心ちゃん。

｢あの技はね、“綱渡り”って言って丸井先輩の持つ“妙技”の内の1つなんだよ。｣

と、説明してくれる。
意外とそのまんまの名前だなぁ…
その後も不思議な試合展開に驚いた。
もちろん勝者はプラチナペアの二人。